安倍晋三首相が働く女性への支援策の1つとして打ち出した"育休3年"制度。現在、最長で子供が1歳半になるまで認められている育児休業を3歳になるまで延ばすというこの制度、実際に子を持つ主婦たちはどのように受け止めているのかたずねた。
ないよりはあったほうが…
「このままの政策で問題が解決されるわけではないが、制度を利用するかしないかは本人の選択であり、制度を利用できる立場(職場)にいるかいないかも本人次第。選択肢が少しでも増えることは朗報」(37歳主婦 7歳・3歳男児)
「制度として存在するのはよいのでは? ただ、3年間堂々と育休できる職種、それを快く許してもらえる環境のある職場は限られると思う」(38歳主婦 6歳女児・1歳男児)。
「育休の期間は現状でも十分だと思うが、3歳まで時短を保証されると助かる世帯は多いと思う。同時に、大企業・公務員と中小企業の格差を是正することも重要だと思う」(40歳公務員 5歳女児・1歳男児)。
上記のように、賛成派は一様に「ないよりはあったほうがいい」との評価。ただし、制度の恩恵を受ける職種や企業は限定的で、現実的な制度の効力としては懐疑的といった消極的な賛成意見が多い。
また、「給付金が育休中の全期間もらえることを前提に賛成。ただ、自分が3年取得するかと聞かれれば答えはNO。3年も職場を離れると、"いらない人"になってしまう。3年間働かなかったら、逆に仕事をするのが嫌になってしまいそう」(30歳会社員 5か月女児)など、離職期間が長くなれば労働意欲の低下やスキルダウンを懸念する声も多かった。
現実に即した制度を
一方、否定派は実社会と比較して、より現実的な意見を口にする。「ある程度条件を設け、子育てに関する何かの理由で途中で休職したくなったときに、フレキシブルに対応することができる制度のほうがありがたい」(37歳金融専門職 5歳女児)。確かに、職場復帰を果たしたからと言って、その後が順調とは限らない。「復帰すればノンストップで働き続けるしかない」という状況より、何か起きれば再び育休に入ることができる制度もあったほうがいいかもしれない。
また、実際に働く母からは、「そもそも3年の根拠がよくわからない。3歳から保育所に入所するのは現状だと厳しい」(36歳医療系専門職 3歳男児・1歳女児)、「知識面はなんとか補えるとしても、手の感覚が重要な今の仕事においては3年間も職を離れることにとても不安を感じる。ベストな育休期間としては、仕事の面を考えると長くて半年と思うが、子供優先で考えると1年が現実的」(38歳医療系専門職 6歳・1歳女児)。
その他、男性と女性の育休を同列に扱うことに批判の声も。「女性の育休には、産後の体を休める目的があり、さらには授乳といった体の問題もあるので、男性の育休と同じように語られてはかなわない」(37歳主婦 7歳・3歳男児)。
育休期間の延長は、待機児童などの問題により産後の社会復帰がかなわなかった人々や、仕事は続けたいが子供との時間をもっと持ちたいという人々にとっては朗報だ。しかし、個人差はあるものの、産後の女性は心身ともに大きく変化し、社会の実態や現実に即した労働環境の改善はもちろん、心身のケアにも留意してほしいものだ。そして女性の生き方や働き方はそれほどシンプルではないということにも目を向け、より踏み込んだ制度改革を期待したい。