11月17日、「TOKYO ICHIBA NOW! ~考えてみよう 築地と豊洲のこと~」が東京・豊洲のアーバンドックららぽーと豊洲にて開催され、リリー・フランキーさん、大桃美代子さんらが"市場"に関するトークショーを行った。本イベントは、平成27年度に予定されている築地市場の豊洲への移転に向けて、中央卸売市場の機能や役割を再発見・再認識してもらうプロジェクトとして東京都中央卸売市場が行う「TOKYO ICHIBA PROJECT」の一環として開催されたもの。
トークショーでは、まず異文化コミュニケーターのマリ クリスティーヌさんが、友人である「リストランテ・エ・ピッツェリア・ダ・イーヴォ」のオーナーシェフ、イーヴォ・ヴィルジーリオさんと共に登壇してトークを行った。
市場の移転について、クリスティーヌさんは「市場に行くとその国の文化がわかるし、何を食べているかは重要なこと。築地市場が豊洲に移転することで、インターナショナルなマーケットになる」とコメント。ヴィルジーリオさんは「築地市場は魚のクオリティが高くてバラエティ豊富。だけどディスプレイが寂しいので、移転後はお客さんからよりおいしそうに見えるようにしては」とアドバイスした。
マリ クリスティーヌさん(右)と、「リストランテ・エ・ピッツェリア・ダ・イーヴォ」のオーナーシェフ、イーヴォ・ヴィルジーリオさん |
リリー・フランキーさん(右)と大桃美代子さん。市場移転のキャラクター「イッチーノ」を見て「僕がデザインしたかった」とコメント |
続いてのトークショーにはリリー・フランキーさんと大桃美代子さんが登場。現在の築地の雰囲気が好きだというリリーさんは、「移転で市場があまり近代的になるのも寂しい」と述べつつ、「今の豊洲は、まだあまり"人の匂い"がしないが、市場ができれば"人間臭さ"が出てきて、活気づいていくと思う」と豊洲への今後の期待を語った。また、プロジェクトのキャラクター「イッチーノ」を見て「僕がデザインしたかった」と悔しがってみせるなど、いつも通りの"リリー・フランキー節"で会場を笑わせていた。
「移転しても流通する魚は変わらない」
「TOKYO ICHIBA PROJECT」プロデューサー・牧村真史さん(左)と東京魚市場卸協同組合相談役の伊藤宏之さん |
午後からの「ICHIBAの語り場」には、「TOKYO ICHIBA PROJECT」プロデューサーである牧村真史さんと、東京魚市場卸協同組合相談役であり、半世紀ものあいだ築地市場で卸売業を続けているという伊藤宏之さんによるトークセッションが行われた。
築地市場の魅力について伊藤さんは「毎日、何百種類という魚が入荷してくる品揃えにある」とコメント。市場の移転については「移転しても中で流通する魚は変わらない。僕たちが培ってきた本当の意味での魚の文化をしっかりと守っていきたい」とアピールした。
また、最近は市場の事業者数が減少傾向にあり、会話によるコミュニケーションができなくなりつつあるという。その原因について伊藤さんは「量販のバイヤーさんが計画的な仕入れをすることや、小さいお店が減りつつあるのが原因」と分析。「対話をきちんとしながら仕入れていかないと、魚をおいしく食べていただけない」と事業者間やお客さんとの対話の重要性を説明した。
トークショーの後には、一般の子どもたちが参加しての「模擬せり体験ステージ」が開催され、築地市場で実際に行われているせりを体験して盛り上がりを見せていた。