JR北海道は、9月19日に函館本線大沼駅構内で発生した列車脱線事故の概況を発表した。「適切な線路管理を行っていなかったことについてのお詫び」も発表している。

特急列車が走る区間でも、レール幅の広がりが許容値を超えたにもかかわらず、適切な補修作業が行われていなかった箇所があるという

事故の発生は9月19日18時5分頃。大沼駅を定時に発車した帯広貨物駅発熊谷ターミナル駅行の貨物列車(機関車1両、貨車17両)の貨車4両(5~8両目)が、副線から本線に合流するポイント付近で脱線したという。

脱線した場所は大沼駅ホームから約200m函館寄りで、発車してから約1分後に事故が発生した。運転士は当時、「後部から引っ張られるような感じ」とともにブレーキ管の減圧を認め、列車を停止。停止後に編成を確認して5~8両目の脱線に気づき、輸送指令に報告した。その後の保安係員の調査により、5両目は後ろ台車の2軸が進行右側、6両目は前台車2軸が進行右側、7両目は前2軸が進行左側、後ろ2時が進行右側、8両目は前台車2軸が進行右側に脱線していることが確認された。

当初、原因は調査中とされたが、21日になって、当該箇所のレール幅の広がりが社内規定の許容値を超えていたことを把握しながら、補修を行っていなかったことを明らかにした。

レール幅の広がりは、脱線事故につながるおそれの大きい事象。通常1,067mmのレール幅に対し、カーブでは19mm未満、直線では14mm未満までの広がりを許容値とし、それを超えた場合には15日以内に補修するとしていた。だが実際には、今年6月の検査で通常値より25mm広いレール幅となっていることを確認していたにもかかわらず、事故が発生する時点まで補修が行われることはなかったという。

22日に開かれた社長記者会見では、レール幅などの許容値超えを把握しながら必要な補修を施していない箇所が本線49カ所、副線48カ所の計97カ所にのぼることも明らかに。

23日には、「適切な線路管理を行っていなかったことについてのお詫び」を発表。多数の箇所において、ルール通りの補修作業が行われていなかったと認めた上で、「この多数の箇所には、お客様にご乗車いただく特急列車・普通列車が運行している区間も含まれており、極めて重大な事態を発生させたと受け止めております」「このような事態になりましたことを深く反省し、ご利用のお客様に多大なご心配とご迷惑をおかけしておりますことを心よりお詫び申し上げます」としている。

貨物列車脱線事故に関しては、事故原因の究明に向けた運輸安全委員会の調査に協力するとともに、原因を明らかにし、再発防止に全力で取り組むとのこと。