図1 ホイップクリーム作製時間の短縮とそのメカニズム

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、8月23日・24日に開催された「日本調理科学会」において、 レモン果汁の調理機能について発表した。レモン果汁を生クリームへ添加することで、ホイップクリーム作製時間が短縮することが明らかになったという。

同社は、レモン製品を製造・販売する一方、レモンの持つ健康価値、調理機能の価値などを発掘・発信するために様々な研究を行っている。これまで、レモン果汁によるpHの変化やクエン酸のキレート作用が、多様な調理機能を発揮することを明らかにしてきた。今回は、レモン果汁を生クリームへ添加することで、調製時間や物性の変化におよぼす影響について検証を行い、より扱いやすいホイップクリームの作製方法を探索した。

レモン果汁でホイップ時間が短縮

まず、生クリーム300mlにレモン果汁を1%添加して攪拌(かくはん)したところ、ホイップ時間は2/3に短縮した。5%以上レモン果汁を添加すると、ホイップ時間は約半分まで短縮したという(図1~3参照)。

図2 ホイップ時の粒子径の変化(値が大きいほど形成が促進される)

図3 レモン果汁の添加による時間短縮効果(値が小さいほど早く作成できる)

クリームの形状も長時間保持

次に、ホイップクリームの経時変化の抑制について調査。ホイップクリームは時間を置くとクリームと水分が分離するが、1%、5%のレモン果汁添加により、0%と比較してそれぞれ15%、60%離漿率(水分分離の度合い)が減少することが分かった(ホイップクリームを4℃で一晩置いた場合、図4, 5参照)。

図4 ホイップクリームの経時変化

図5 ホイップクリームの気泡径の変化率

1%果汁の添加で口溶けのよいクリームに

続いて、ホイップクリームの味覚上の変化について調べた。13人に官能評価を行ったところ、レモン果汁を1%添加したクリームは舌触りが軽く、口溶けの早いさっぱりした特性を持つことが分かった。5%では濃さが強い特性を示し、レモン果汁の添加量を変えることで、用途に応じたホイップを作ることができるという(図6参照)。

図6 ホイップクリームの味覚上の変化