国土交通省は2日、2012年版の「国土交通白書」を発表した。今回の白書は、「若者の暮らしと国土交通行政」をテーマに設定し、若者の住まい方や働き方の変化などを分析した。
住居に関する動向を見ると、全年齢平均の持ち家率は1983年から1998年の期間に微減したものの、その後は2008年にかけて持ち直しの動きが見られた。この間、持ち家率の平均は6割程度の水準で推移している。一方、40歳未満の持ち家率は1983年以降、全体的に減少傾向にあり、30~30歳の持ち家比率は1983年には53.3%と半数以上だったが、2008年には39.0%と4割を下回った。また、30歳未満では、1983年の17.9%から2008年には7.5%と大幅に減少していた。
30歳未満と30代の住宅(マンション)価格の年収倍率を調べたところ、バブル期には地価高騰などで住宅価格が上昇し、1990年には30歳未満で9.2倍、30代で7.8倍に。バブル崩壊以降1990年代終盤までは、住宅価格の下落に伴い年収倍率も減少し、1998年には30歳未満で7.2倍、30歳代で5.5倍に下がった。しかし、その後は住宅価格が値上がりした一方、若者の年収は減少傾向となったため、2011年には30歳未満で8.7倍、30歳代で6.8倍まで上昇した。
1989年と2009年の可処分所得に占める住宅ローンの返済額の割合は、全年齢では10.7%から16.9%に上昇しているのに対し、30代では13.2%から19.8%と全年齢より高い水準で推移していることが判明。白書は、このような経済的負担の増加が若者の持ち家率が減少した一因になっていると分析している。
また、可処分所得に占める家賃の割合を1989年と2009年で比べた場合、40歳未満の単身男性では12.4%から19.9%に、40歳未満の単身女性では19.0%から24.7%に、世帯主が40歳未満の2人以上世帯では10.5%から14.9%に上昇していた。特に単身世帯において住居費負担が高まっているほか、可処分所得が男性より低く、かつ住宅の安全性についてこだわりがある女性の方が家賃の割合が高くなっている。
居住面積について見ると、40歳未満の世帯主(2人以上の世帯)が住む民間賃貸住宅は平均55.4平方メートルで、持ち家(戸建て115.7平方メートル)の約半分だった。
一方、東京圏について見た場合、30代の持ち家率は、1983年から1998年にかけて46.0%から31.3%に減少したものの、その後は持ち直し、2008年には36.8%まで回復した。30歳未満の持ち家率についても、1983年から1998年の期間に10.5%から5.6%まで減少した後、2008年には7.1%まで持ち直した。これは、東京圏の住宅価格が下落したことなどが影響したと考えられる。