初対面の人と話すときには、敬語を使うのがマナーです。英語にも敬語はあるのでしょうか? 元国際線のキャビンアテンダントで、国際的なマナーなどとともに英語を教えるオフィス・グレース代表の荒井弥栄さんに、英会話上達法を教えていただきました。

WhatやWhereで尋ねるのはNG

――英語にも敬語はあるのでしょうか?

荒井さん「フォーマルな場にふさわしい表現と、カジュアルな英語が存在します。初対面の方にはフォーマルな英語を使うことが望ましいのですが、誰に対してもカジュアルな英語で話しかける日本人は多いですね。

例えば、電話番号を教えてもらいたいとき、『What's your phone number?』と尋ねるのはNG。これでは『電話番号は?』とぶっきらぼうに聞かれているととらえられてしまうでしょう。

フォーマルな英語表現では、『May I have your phone number?』(お電話番号を教えていただけますか?)。疑問詞で尋ねると失礼にあたるので注意してください」

――疑問詞がNGとは知りませんでした。

荒井さん「決して間違った表現ではありませんが、カジュアルに聞こえてしまうのです。ビジネスはもちろん、旅行先のホテルやレストランでも、フォーマルな英語を話した方が相手に好印象を与えられますよ。

お手洗いの場所を尋ねるときも、『Where is the toilet?』では『便器はどこ?』と聞いているように思われてしまうでしょう。『Could you tell me where the bathroom is?』(すみませんが、おトイレの場所を教えていただけますか?)と、尋ねるのがスマートですね」

正しい英語が失礼にならないとは限らない

――知らないうちに失礼な英語を使っていないか、心配になりました。ほかにも、失礼な表現を教えていただけますか?

荒井さん「それでは、いくつかご紹介しますね。

『Why don't you join us?』(一緒にどうですか?)と誘われたけど都合が悪いとき、多くの日本人は『I can't.』と答えがちです。しかし、これでは『無理』と聞こえてしまい、拒否されたかのように感じてしまいます。

このようなときは、『I wish I could, but unfortunately I can't.』と回答するべき。『そうしたいのはやまやまですが、あいにく行けないのです』という気持ちを伝えることができます。

『Could you help me to do this?』(これを手伝ってくれませんか?)という依頼を断るときも、『I'm rather busy.』(ちょっと忙しいのですが……)と話した方がいいでしょう。『I'm busy.』だけでは、『忙しい!』と、怒っているように聞こえてしまいますからね」

――間違った表現も失礼になりそうですね。

荒井さん「相手に意図が伝わらないという意味では、決して丁寧とは言えませんね。

例えば、『Mr. Collin decided to fire Ms. Williams.』(コリン氏はウイリアムさんを解雇することを決めたよ)と告げられて、『そんなのウソだ!』と言いたかったとしましょう。『ウソ』という言葉をそのまま訳して『That's lie.』と言う方がいますが、『lie』には悪口のようなニュアンスがあるので伝わらない可能性も。

この場合、『That seems hard to believe.』(信じがたいですね)と言った方がいいでしょう」

●その他の失礼になりがちな英語表現

1.× Can you come tomorrow?(明日来れる?)
○ Would it be possible for you to come tomorrow?(明日いらしていただくことはできますでしょうか)

2.Would you like to try this cake?(このケーキを食べてみませんか?)と言われて断りたいとき
× No, I don't like it.(嫌です。私はそれが嫌いです)
○ I'm afraid I don't care for it.(あいにくそれが好きではないのです)

3.I feel like throwing up.(吐き気がする)とつぶやいた人に対する声かけ
× What's wrong?(どうしたの?)
○ Is there anything I can do for you?(何か私にできることはある?)

4.How is my report?(私の報告書、どう思う?)と聞かれたけど、微妙だったとき
× I don't know.(わからないよ)
○ It doesn’t look too bad, I suppose.(悪くないと思いますよ)

言葉だけでなく、態度も気を付けるべき

――言葉だけでなく、失礼な態度もあるのでしょうか。

荒井さん「もちろん、ありますよ。日本人はレストランなどに入店する際、無言で入ることが多いですよね。しかし、海外では失礼な態度だと思われてしまいます。『Hello』など、簡単なあいさつで構わないので、何か一言発した方がいいですね。その際、笑顔もお忘れなく。

英語だけに限らず、海外へ行くときにはあいさつやお礼の言葉など、最低限の会話表現を覚えておくといいですね。皆さんも外国人に道を教えたりしたとき、『アリガトゴザイマス』とカタコトでもお礼を言われたらうれしくなるでしょう。それと同じことです。

また、英語圏以外でも『Thank you.』と言ってしまいがちですが、現地の言葉で話すと相手の表情や態度も変わるもの。国際感覚を身につける第一歩として、相手の国を尊重することを習得するとよいかもしれませんね」

<プロフィール>
荒井弥栄
JALで国際線のCAとして10年以上勤務後、英語指導者に転身。エグゼクティブに特化した半年間完成プログラムで、英語だけでなく国際人として世界に通用するマナーや交渉事についてまでレッスンする。著書には『ビジネスで信頼される ファーストクラスの英会話』(祥伝社黄金文庫)他2冊がある。2013年8月に4冊目を刊行予定。
Office Grace


英会話スクール通いが難しい方へ
24時間予約不要のオンライン英会話だから、続けられる。まずは無料体験