illustration by KEI (C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net |
「初音ミク」とは、様々な作品や商品とコラボしている『歌を歌うソフトウェア』です。単なるソフトウェアのはずなのに、事実上、アイドルとして君臨しています。
そこで、初音ミクを企画・販売しているクリプトン・フューチャー・メディアに取材。初音ミクとは何か、利用方法、できることなどについてうかがいました。
「歌うソフトウェア」でもあり、「キャラクター」でもある
――「初音ミク」はすごい人気ですね。一体、「初音ミク」とは何なのですか?
「当社が2007年8月に企画・発売した『歌を歌うソフトウェア』であり、ソフトのパッケージに描かれた『キャラクター』です。たくさんのアマチュアクリエイターが『初音ミク』ソフトウェアを使い、音楽を制作して、インターネットに公開したことより人気になりました」
――音楽以外のジャンルのクリエイターも初音ミクを活用していますよね。
「初音ミクは歌声合成ソフトであると同時に、キャラクターです。イラストや動画など、様々なジャンルのクリエイターが、『初音ミク』をモチーフとした創作をしていますし、楽曲同様、インターネット上に作品が公開されています」
――キャラクターとのことですが、プロフィールのようなものはあるのですか?
「初音ミクは、2007年8月31日生まれの16歳の女性で、身長は158cm、体重は42kgという設定になっています。得意なジャンルの曲は、アイドルポップス、ダンス系ポップスです」
クリエイターの可能性を広げた初音ミク
――非営利や個人の活動の範囲内なら、無料で初音ミクの「歌声」や「キャラクター」を使えるというのは本当ですか?
「非営利目的で、公序良俗に反しない内容での、キャラクターの自由な利用を認めています。ただし、無料であっても、行為全体として営利を図るようなものや、非営利目的であっても、対価を得たり報酬を徴収したりするような行為も範囲外なので注意してください。詳しくは、当社サイトの『ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)』を参照のこと。
企業・法人さまのご利用については、有償・無償、いずれの場合も、企画ごとに社内でキャラクターの利用を判断をさせていただいております」
――クリエイターは、自分の二次創作物を世界に発信しやすくなりそうですね。
「はい。そして、創作活動でのメリットも大きいです。ソフトウェアとしての『初音ミク』は24時間自宅PC内で待機しているので、曲のアイデアを思いついたときに、いつでも歌わせたり、歌い直させたりすることができます」
――初音ミクは、クリエイターから、あたかも人間であるかのように愛されている印象があります。これはなぜなのでしょうか?
「一概には言い切れませんが、初音ミクがキャラクターとして存在しているので、楽曲製作者は、『バーチャルアイドル』をプロデュースする感覚を味わうことができることも一因かと思います。また、『初音ミク』に思い入れを持つほかのユーザーと一緒に育てているというムードもありますね」
初音ミクを使った楽曲がきっかけで、プロになる作詞・作曲家も!?
多くのクリエイターが初音ミクを使った楽曲をインターネット上に公開しています。その楽曲が有名になり、カラオケなどで歌われることも。この場合、クリエイターにも著作権収入が分配されるのでしょうか? 日本音楽著作権協会(JASRAC)に著作権についてうかがいました。
「クリエイターが当協会に著作権を預けている楽曲については、当協会を経由してクリエイターに楽曲使用料が分配されます。コンサート、放送、ネット配信など、カラオケ以外の方法で楽曲が利用された場合についても同じです」
初音ミクといっても「歌声」「キャラクター」、そして彼女が歌う「楽曲」、いろいろな側面があるのですね。初音ミクとのコラボを楽しみながらも、ルールを守るべきところは守りたいと思いました。取材にご協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
キャラクターイラストクレジット
illustration by KEI (C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
取材協力
クリプトン・フューチャー・メディア
『ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)』
日本音楽著作権協会 (JASRAC)
(OFFICE-SANGA 臼村さおり)