東京都は14日、マグニチュード9クラスの南海トラフ地震が発生した際の被害想定を発表した。それによると、それによると、伊豆諸島と小笠原諸島で最大1,774人の死者が発生し、中でも新島では最悪の場合、人口の半数以上に当たる1,313人が死亡する可能性があることがわかった。

今回発表した被害想定は、内閣府が2012年8月に発表した「南海トラフ巨大地震の被害想定(第1次報告)」を踏まえ、特に島しょ部における詳細な被害を明らかにするために作成したもの。

23区・多摩地域における被害については、大田区や江東区などの一部地域で震度が最大6弱、そのほかの地域では大部分が最大震度5強となると予測。

震度分布(出典:東京都防災ホームページWebサイト)

最大津波高は、江東区で2.48メートル、中央区で2.46メートル、品川区で2.44メートル、港区で2.40メートル、大田区で2.37メートル、江戸川区で2.07メートル、東京湾埋立地で1.88メートルと予想している。ただし、いずれのケースでも水門が閉鎖されていれば堤内値への浸水は見られず、人的被害は発生しないとしている。

津波高・浸水域

液状化危険度を見ると、江戸川区や葛飾区、江東区などの一部で「液状化の可能性が高い」と想定している。

液状化危険度(出典:東京都防災ホームページWebサイト)

島しょ部の被害については、大島や利島などの一部で最大震度6弱が想定されるものの、ほとんどの地域で最大震度5強以下と予測。御蔵島、青ヶ島などでは最大震度5強~震度3、小笠原諸島では最大震度1以下と予想している。

最大津波高は、新島で30.16メートル、式根島で28.15メートル、神津島で28.43メートル、八丈島で18.07メートル、青ヶ島で17.68メートル、三宅島で16.98メートル、利島で16.18メートル、伊豆大島で15.76メートル、小笠原諸島の父島で18.52メートルなどと想定。到達時間は15分程度(新島)と見ている。

建物被害については、最大1,282棟が全壊し、このうち津波による被害は1,160棟と予測。急傾斜地崩壊等は最大122棟発生するとしている。死者数は最悪の場合、新島で1,313人、神津島で288人、三宅島で143人、小笠原諸島の父島で127人、母島で34人、伊豆大島で37人などと想定。なお、迅速に避難することができれば、津波による死者はゼロになる可能性があるとしている。

被害想定の詳細は、東京都防災ホームページWebサイトにて閲覧することができる。