5人のプロ将棋棋士がコンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う「第2回将棋電王戦」。3月30日に行われた第二局・佐藤慎一四段 VS ponanzaは、公式の場で現役のプロ棋士が初めてコンピュータに敗れるという歴史的な対局となったが、終局と同時に第3弾のPVが公開された。
「第2回将棋電王戦」のティーザーPV、そして第一局・阿部光瑠四段 VS 習甦、第二局・佐藤慎一四段 VS ponanzaと、これまでに3つのPVが公開され、そのクオリティの高さからネット上で話題となっている「電王戦」のPVだが、今回の第3弾はこれまでとはがらりと景色を変えたPVに仕上がっている。
4月6日に行われる第3局は、船江恒平五段 VS ツツカナ。それはプログラミングの虎たちによる長き戦いの歴史――というナレーションから始まるこのPVでは、コンピュータ将棋の歴史を創世記・40年前にさかのぼり、大名人と呼ばれた大山康晴十五世名人(1923~1992)の「いずれ追い越されるからコンピュータに将棋をやらせてはいけない」という彼の先見性が見て取れる発言、日本将棋連盟前会長、故・米長邦雄氏がコンピュータ将棋に多大な援助をし、プロ棋士とコンピュータの「共存共栄」を掲げていたことなどが紹介される。さらに、この中で第五局最終戦に登場するGPS将棋開発者の森脇大吾氏は、「プログラミングの達人 対 将棋の達人、人間 対 人間の戦いが裏にあると思います」と、コンピュータにプログラミングし、制御するのも生身の人間であり、この「電王戦」は、それぞれ方法は違えど突き詰めれば「人間 対 人間」の勝負であると語っている。ここで使用されている音楽は、sasakure.UK(ささくれP)のTiger Rampage feat. Rin Kagamine(タイガーランペイジ)。
そして、登場する第三局のコンピュータ側「ツツカナ」。このマシンは、第22回コンピュータ将棋選手権3位強さだけではなく、美しい棋譜を残す事を考慮して作られているという。制作者の一丸貴則氏は「船江五段は爽快な将棋を指す方だと伺っております。ツツカナもレベルは違うかもしれないですけど、そういった感じの将棋を指します」とあくまで爽やかに語り、映像は桜舞う兵庫県・加古川駅へ。ここは、第三局に登場する船江恒平五段の故郷であり、また過去幾多の名棋士を生んだ「棋士のまち」でもある。門下生として船江五段を育て上げた井上慶太九段も登場し、二人の師弟の絆が描かれるとともに、バックで流れるDE DE MOUSEの「day all stars remixed by The Go! Team」が爽やかに第三局を盛り上げている。
「第2回将棋電王戦 第三局 船江恒平五段 VS ツツカナ PV」
4月20日まで開催される「第2回将棋電王戦」は、第22回世界コンピュータ将棋選手権で好成績を挙げた上位5チームの最強コンピュータと、現役のプロ棋士5人による史上初の団体戦。1日1組の対戦で全5局を実施し、結果3勝した方が勝者となる。持ち時間は人間側、コンピュータ側ともに4時間。「その棋士は 救世主か? 犠牲者か?」――第三局は4月6日、船江恒平五段 VS ツツカナの対局となる。