九州の「いちご狩り」は既にスタート、週末は家族連れで大賑わいだ

えっ? 時期的にまだ早いのでは? そう思っている皆さん。九州では既に「いちご狩り」が始まっているのだ。今回は、「らいおんいちご」「とよのか」など人気ブランドいちごの生産農園を直撃! 現地からのレポートも加えて、各地のいちご農園10軒を紹介する。

超レア品種も楽しめる「らいおん果実園」

最初に現地レポートするのは、福岡県筑前(ちくぜん)市の「らいおん果実園」だ。福岡県の中央部筑前町にハウスを並べるこの農園には、「らいおんいちご」というレアな品種があるという。都市高速を使えば福岡市の都心部からわずか40分。田園風景のまっただ中だというのに実に便利な場所だ。

「らいおん果実園」は福岡市中心部からわずか40分という好立地

午前10時。開園と同時に到着したが、既にカップルや家族連れが楽しそうにいちご摘みをスタートしているではないか! 「らいおん果実園」で栽培されているいちごは、「らいおんいちご」を含む計6種類。これらを思う存分食べ比べができる。

ハウスに一歩足を踏み入れると、いちごが甘い香りを充満させている。農園の目玉と言えば「らいおんいちご」。この名前の由来をオーナーの飯野さんに尋ねると、「ライオンは狩りの名人でしょ。なので、いちご狩りとつなげて園の名にしたのです。品種は5年をかけて開発したオリジナルいちご。園の名を冠せて『らいおん』としました」とシンプルなご回答。

狩ることも食べることも、お目にかかることすらも「らいおん果実園」でのみという超レア品種「らいおんいちご」。このためだけに訪れても、十分な価値がある。

ここでしか食べることのできない「らいおんいちご」も食べ放題!

らいおん果実園は人の胸ほどの高さの棚でいちごを育てる、「高設栽培」という手法をとっている。つまり、立ったままの姿勢で摘みとることができるのだ。鈴なりの「らいおんいちご」の中から一粒を手に取り口に含むと、淡い甘みが口いっぱいに広がる。どっしりと重い甘みではなく、ほんわり口の中に広がる上品な甘さだ。

次に「とちおとめ」も食べてみると、こちらは果肉がやや固く、甘さが口の中に広がった後に、さわやかな酸味が残る。近年、全国的に知られるようになった福岡県産の品種「あまおう」は、果肉の硬さ、甘さともに、先の2種の中間といった感じか。他の3種類も食べ比べてみたが、果肉がとろけていく食感と、独特な甘みがちょうどいい!

●Information
らいおん果実園
品種:らいおんいちご、とちおとめ、べにほっぺ、やよいひめ、あきひめ、あまおう
価格:60分食べ放題 1,500円 持ち帰りは100g/200円

イノシシが振る舞われることもある?

次に筆者たちが向かったのは、食べ放題に「時間制限なし」という、佐賀県吉野ヶ里町にある「松本観光いちご農園」だ。全国的に有名な吉野ヶ里遺跡の近くにあり、去年までは受粉に使うミツバチまで自前で飼っていたという本格的な農園なのだ。

到着すると、いちご狩りを楽しむお客さんがいる一方で、何と山を背にバーベキューをしている。それもイノシシの肉を焼いているというではないか! というのもこの農園のオーナー松本さんは、猟の資格を持つ狩人(かりゅうど)でもある。獲物があった日は、「わざわざこの田舎の農園まで来てくれたお客さんに感謝の気持ちを込めて」振る舞うというから、驚きである。信じられないことに、このイノシシの肉をいただくぶんにはタダなんだとか。

「松本観光いちご農園」の「とよのか」は赤みが強く瑞々(みずみず)しい

さて、本題のいちご狩りは、時間制限なしの1日中食べ放題・楽しみ放題というシステム。松本さんの農園では、「とよのか」と「アイベリー」の2種類が土耕栽培で育てられている。更に、肥料づくりにも強いこだわりがあるんだとか。「ほら、見てください」と、松本さんが見せてくれたいちごの赤色は深い。食べてみると、普段はエグさを感じるほど強い「とよのか」の味も、この農園のいちごでは瑞々(みずみず)しく、落ちついた味わいなのだ。

吉野ヶ里遺跡の近くというロケーションの農園、是非訪れてみてほしい

1日中いちごを摘んでは食べることができて、オーナーの猟次第ではイノシシの肉にまでありつけてしまうという「松本観光いちご農園」。その時間無制限食べ放題のお値段は、1,600円とリーゾナブル。佐賀県の吉野ヶ里遺跡へ家族連れで観光されるみなさん、是非少し足をのばしてこの農園を訪れてみてはいかがだろう?

●Information
松本観光いちご農園
品種:とよのか、アイベリー
価格:食べ放題時間制限なし 1,600円持ち帰り100g/230円

全九州のえりすぐりのいちご農園を一挙紹介!!

九州にはこの2軒に勝るとも劣らない、個性豊かないちご農園がまだまだたくさんあるのだ。ざっと駆け足で、全九州から選りすぐった8軒の農園を紹介しよう!

「筑紫野いちご・いちじく農園」 福岡県・筑紫野市

「筑紫野いちご・いちじく農園」では、「かおりの」という珍しい品種のほか、桃の香りがするという「桃薫」幻の白いいちご「白雪姫」、ブーケのような形で花を開く「ストロベリーブーケ」など9種類を栽培している。高さが違う2段重ねの高設棚が広がる園内は九州最大級の広さ。

また、いちご狩りをした人限定で、ジャム作りも申し込めるという(1日3組限定)。料金はひとり1,800円で、2瓶分のジャムが完成。今年のイチゴ狩りは5月26日までで、その期間ならいつでもOKだが、かなり先まで予約がうまっているので問い合わせはお早めに!

9種類の珍しいいちごが揃う「筑紫野いちご・いちじく農園」。写真はやよいひめ(弥生姫)という品種

●Information
筑紫野いちご・いちじく農園
品種:あまおう、かおり野、やよい姫、 紅ほっぺ、さがほのか、さちのか、桃薫、白雪姫、ストロベリーブーケ
料金:食べ放題60分1800円/持ち帰り100g/180円

観光いちご狩り農園「いちごの森」 長崎県西海(さいか)市

観光いちご狩り農園「いちごの森」は、長崎県西海市にある動植物園・長崎バイオパーク近くにある。4品種2万2,000株のいちごが高設栽培で育てられている。長崎バイオパークとの共通セット券もあり、バイオパークでの動物たちとのふれあいといちご狩りをセットで楽しむこともできる(大人2,500円、中高生2,000円、小人1,400円)。

いちご狩りの他にも楽しめるスポットがエリアに揃う「いちごの森」

●Information
いちごの森
品種:紅ほっぺ,、あきひめ
料金:食べ放題40分 1400円/持ち帰り100g/200円

「パルクラブ」 大分県竹田市

標高700mの高原にある「パルクラブ」は、平均5℃は平地との温度差があるという。その寒暖の差が、身が引きしまった糖分の高いいちごを育てるらしい。種類は「とよのか」を始め3種を高設棚で栽培。立ち寄り湯やレストランなどの施設も併設しており、いちご狩りの後の湯上がりには、人気のいちごちゃんソフトクリーム(350円)がオススメだ。

標高700mという高さに位置する大分県の「野菜夢工場パルクラブ」

●Information
パルクラブ
品種:とよのか とちおとめ あきひめ
料金:食べ放題40分 1,200円/持ち帰り100g/150円

「吉次園」 熊本県熊本市内

栽培農家が非常に少なく、糖度、香り、艶で一級品とされる「紅あやね」を栽培しているのがこの「吉次園」の特色だ。開花後は農薬不使用で栽培するという。阿蘇外輪山一望の大型休憩場や、全天候型バーベキュー場も完備。植木温泉も近く、いちご狩りの後に、一風呂浴びて帰る客も多いとか。

一級品とされるブランドいちご「紅あやね」がここでは味わえる

●Information
吉次園
品種:紅あやね
価格:食べ放題60分1,300円 持ち帰り100g/200円

「阿蘇いちご畑 木之内農園」 熊本県南阿蘇村

全国から集められた、多様な品種のいちごが食べられるのが「阿蘇いちご畑 木之内農園」の特長。今年は15品種の栽培に成功したとのこと。しかも、時間制限なしの食べ放題なのだ! 自分たちだけのオリジナルいちごケーキが作るイベントなどもある(今年は開催時期、料金ともに未定:3月5日時点)。生いちごがトッピングされたいちごソフトクリーム(300円)は、同園人気の一品だ。

15種類が時間制限なしで食べ放題なのがうれしい

●Information
阿蘇いちご畑 木之内農園
品種:紅ほっぺ、とよのか、さがほのか,、ひのしずく 他15種
価格:食べ放題時間制限なし1,300円/持ち帰り100g/200円

「串間いちご畑」 宮崎県串間市

「串間いちご畑」は入園無料。摘み取った分だけ量り売りしてくれる農園だ。ただ、園内で食べることはできないので注意しよう。牧場が併設されており、ヤギ、ウマ、ミニブタ、ウサギ、アイガモ、ニワトリなど愛らしい動物がたくさん飼育されている。

摘み取った分だけ購入できる農園「串間いちご畑」

●Information
串間いちご畑
品種:さちのか、さがほのか
価格:入園無料 摘み取った分だけ量り売り 100g/170円

鹿児島生まれの「さつまおとめ」を堪能できる「加世田観光農園」

「加世田観光農園」 鹿児島県志布志(しぶし)市

鹿児島で作られた品種。大きく歯ごたえがあり、甘みもしっかり。それが「さつまおとめ」だ。「加世田観光農園」では他にも、「とよのか」「さがおとめ」の3種類が時間制限なしの食べ放題で楽しめる。いちごの粒入りソフトクリーム(300円)、いちご大福(5個入り400円)、いちごムース(150円)、いちごジャム(420円)など、スイーツやお土産も見逃せない!

●Information
加世田観光農園
品種:さつまおとめ, とよのか, さがおとめ
価格:食べ放題時間制限なし さつまおとめ 1,300円/とよのか さがおとめ1,000円、持ち帰り 100gさつまおとめ 230円/とよのか さがおとめ 200円

「片平観光農園」 鹿児島県日置市

「片平観光農園」では、鹿児島名産の「さつまおとめ」「さがほのか」を栽培。「さつまおとめ」は、一度口にするとその甘さを忘れられないと評判の味。ハウスで採れたいちごにグラニュー糖とレモンを加えて煮込んだいちごジャムや、生いちごソフトクリーム(300円)などが名物。

鹿児島名産の「さつまおとめ」「さがほのか」をここでは味わえる

いちごトッピングのソフトも、この農園の人気スイーツだ

●Information
片平観光農園
品種:さつまおとめ、さがほのか
価格:食べ放題30分 1,500円 持ち帰り100g/189円