いよいよ、ティム・バートン監督の最新作『フランケンウィニー』が公開される。同作は、天才科学少年ヴィクターが愛犬スパーキーを"禁断の実験"で甦らせたことから、彼らが住む小さな町に起こった大騒動を描いた冒険ファンタジー作品で、1984年に一度、実写の短編映画として公開しているものだ。なぜ、このタイミングで改めて映画化することになったのだろうか。そして、ストップモーションアニメ(静止している物体を1コマごとに少しずつ動かしてカメラで撮影し、繋ぎあわせる映像技法)を用い、モノクロで撮影した意図とは? 毎作品ごとにT・バートンワールドとも言われるその独特の世界を生み出し、我々を楽しませてくれるティム・バートン監督に話を聞いた。

ティム・バートン
1958年8月25日、カリフォルニア州バーバンク生まれ。カルアーツ(カリフォルニア芸術大学)を経て、79年、アニメーターとしてディズニーに入社。短編ストップモーション・アニメーション『ヴィンセント』(1982年)や短編実写映画『フランケンウィニー』(1984年)に監督する。これまでに、映画『バッドマン』(1989年)、『シザー・ハンズ』(1990年)、『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)などを手がける

――1984年に実写の短編映画として発表した『フランケンウィニー』と今回の新しい"白黒3D"長編映画版の『フランケンウィニー』は、それぞれどのような想いで製作した作品なのでしょうか。

「当時、短編でこの作品を作ったときは、自分がアニメーターだったときに実写作品を作れるということで、とても楽しく作ることができました。今回は、ストップモーションを用いたことにより、その当時の作品に比べ、ピュアな作品になっていると思っています」

――なぜ、この作品にはストップモーションアニメが適していると思ったのでしょうか。また、カラーではなく、あえてモノクロで撮影した理由も教えて下さい。

「今回の作品が、フランケンシュタインのように命のない、動かないものに命を与え、動きを与えるというストーリーだったからですね。稲妻などの表現でほんの少しだけCGを使っていますが、本作では、ピュアなストックモーションアニメを目指しています。そのため、涙の表現に関しても従来の古典的なストップモーションの技法で撮影しています。また、モノクロで撮影した理由は、昔の映画のように、影の使い方、影の奥行きや深みなどを用い、リアリティさを出したかったからです」……続きを読む