左 松雪泰子、右 江口洋介

2000年9月に刊行され第46回江戸川乱歩賞に輝いた首藤瓜於による小説『脳男』。発刊当初から高い評価とその独創的な内容から数多くのファンを生み、現在までで31万部を超える売り上げを記録している。早くから映像化を望む声が数多く寄せられるものの、実写化における“脳男”のキャラクター設定の難しさから実現までに長い年月がかかることになってしまった。しかし、ついに発刊から約10年以上の時を経て、ベストスタッフ&キャストにより、2013年2月、日本映画史上、類を見ないダークヒーローを描く『脳男』がついにスクリーンへ登場することになった。

主演は『人間失格』の太宰治作品から『源氏物語 千年の謎』での光源氏、『僕等がいた(前篇・後篇)』での悩める青年役など、それぞれの作品で非凡な才能を魅せる生田斗真。生まれつき感情の無い殺人マシン“脳男”・鈴木一郎という難役に挑み、初の本格的アクションにも挑戦して俳優としての新境地を切りひらく。また性善説を信じ犯罪者を救おうとする脳神経外科医・鷲谷真梨子に、数多くのドラマ、映画、舞台に出演し、その圧倒的な存在感を持つ、女優・松雪泰子。さらに、連続爆弾魔を追い続ける武骨だが正義感の強い茶屋刑事を、『白い巨塔』『救命病棟24時』など社会派ドラマに出演し俳優として確固たる地位を築く江口洋介。

制作陣としては、昨年日本アカデミー賞をはじめ各賞を総なめした『八日目の蝉』の監督・成島出が今回は脚本を担当し、『犯人に告ぐ』『イキガミ』『星守る犬』と人間ドラマを力強く演出することで定評のある瀧本智行監督がメガホンをとる。

12年6月上旬都内にてクランクインし、富山でのロケーションを経て、7月下旬にクランクアップ。2013年2月春公開を予定している。

コメント

■生田斗真
今回の作品は自分にとって新たな挑戦です。
お話を頂いた時から、この作品に全てを懸けてみようと思いました。
感情を持たず、痛みを感じない殺人マシンという、これまで演じてきた役とは大きく異なる役です。
撮影に入る準備として、これまで半年間、武術稽古をしてきました。
見応えのあるリアルなアクションシーンも映画の見どころの一つになればと思っています。
この作品が自身のこの先の道のりを大きく広げてくれるよう、日々撮影に励んでいます。
映画が完成する日を心待ちにしていてください。

■松雪泰子

人間の犯罪心理の根源的な要因は、いずこにあるのか?
ある、限られた領域の中でしか生きられない男の切ない物語。
感情を持たない人間に、与えられた使命とは何か?
静かな緊張感の中で展開される、緊密なやりとりに脚本を読んで静かな興奮を覚えました。
私自身の役も、過去にある事件に巻き込まれトラウマを抱えている女性。
新たに起きた事件の容疑者と対峙(たいじ)していくシーンが数多くあるのですがその緊密なやりとり、心理描写を繊細に演じていきたいと思っています。

■江口洋介

今回の作品の監督は『はやぶさ』でお世話になった瀧本智行監督。リアリズムを追求した演出をし、僕たち俳優人の役者魂に火をつけてくれます。カメラマンは、ハリウッドでも数々の作品を手がけているベテラン栗田豊通さん。そして若いスタッフ、キャストと共に新しい日本のアクション映画が間違いなく生まれると感じています。
僕が演じるのは茶屋という男で、“脳男”・鈴木一郎(生田斗真)を追いかける武骨な刑事の役です。犯罪、道徳、正義、追跡の果てに、それぞれが出す決着に向け1カット1カット、テンションの高い撮影をしています。茶屋というワイルドな刑事をどこまでリアルに演じきれるか、僕にとってもまた新しい挑戦です。

あらすじ

ある地方都市で猟奇的な手口の無差別連続爆破事件が発生。刑事の茶屋(江口洋介)は、ついに犯人・緑川のアジトを突き止めたが、確保できたのは身元不明の男(生田斗真)だけだった。

緑川の共犯者と見なされた一郎は、その犯行があまりに異常だったため、精神鑑定を受けることに。担当の脳神経外科医・鷲谷真梨子(松雪泰子)は、一切の感情を出さない彼に興味を持ち、真実の姿を探る。

彼に表情や感情はない、恐怖や痛みも感じない。しかし並外れた記憶力・知能・肉体を持つ究極の存在。人は彼を“脳男”と呼んでいた。そんな中、緑川が真梨子の勤務する病院を襲撃し始める――――

キャスト・スタッフ

出演 生田斗真 松雪泰子 江口洋介
原作 首藤瓜於『脳男』(講談社文庫刊)
脚本 真辺克彦 成島出
監督 瀧本智行

(C)2013 映画「脳男」製作委員会