幕張メッセにて28~29日に開催された「ニコニコ超会議」では、熱狂的な鉄道ファンとして知られるキーボード奏者、向谷実氏の企画・運営による「超鉄道」ブースも設けられた。28日には、JR九州全面協力による「世界初! 485系公開解体買付ショー」を開催。ニコニコ生放送でも生中継された。
この企画は、幕張メッセとJR九州小倉工場を中継でつなぎ、小倉工場に保管された引退車両・485系のレアなパーツを切り出しながら、幕張メッセの来場者に即売していくというもの。向谷氏が司会を務め、中継と価格交渉を横尾真梨子さん(音楽館)が担当。SUPER BELL"Zの野月貴弘氏とホリプロマネージャー南田裕介氏、ホリプロ所属のアナウンサー久野知美さんも助っ人で参加した。
鉄道ファン垂涎のレア部品、大半が1万円以下
「公開解体」の対象となった485系は、半室グリーン車クロハ481-203を含む編成で、「RED EXPRESS」の赤い塗装が施された車両。日豊本線の特急「きりしま」「ひゅうが」などで活躍し、昨年引退した。おもに運転席、客室(グリーン車・普通車)、車外のパーツが紹介され、その場で即売されていった。
「主幹制御器(マスコン)7,000円」「空気弁(下回りも含む)5,000円」「高電圧計と低電圧計がセットで3,000円」「ATSセット。『ジリジリ』『キンコン』セットで3,000円」「『手歯止め使用中』『手ブレーキ使用中』『ATS-SK』などの札を福袋に入れて2,000円」と、中継先の横尾さんが価格を発表するたび、会場からどよめきが。しかも送料・梱包料も含んだ価格というから驚きだ。
クロハ481-203の客室では、グリーン車の座席(1人掛け2万円2人掛け3万円)、普通車の座席(2人掛け2万5,000円)もさることながら、JNRのマークが入った非常燈(3,000円)や寒暖計(5,000円)が大人気。非常燈が点灯した直後、幕張の会場では、「これぞ国鉄の明かり!」と声が上がった。
今回のショーでの最高額となったのは愛称表示器(ヘッドマーク)で、価格は20万円。「ひゅうが」「K&H」「RE にちりん」「さわやかライナー」の幕とともに、「ホームライナー」の幕が現れると、「出たーっ! ここの『ホームライナー』のデザインは日本一だと思います!」と南田氏。興奮がピークに達した彼の姿に、「南田さんがこわれた……」と向谷氏も苦笑いだった。
さらに、向谷氏が抽選の当選者の番号を読み上げるたび、野月氏や南田氏から、「419番! 食パン!」「457番と453番! 交直流急行型電車来ますね~」「113番と321番! 321(系)が113(系)を置き換えたんですよ」と鉄道ファンならではの反応が。非常警報スイッチ(2,000円)を217番の男性が当てた際、「217! 横須賀線ファンなんです」と南田氏がカミングアウトする一幕もあった。
ニコニコ生放送のコメントもにぎわい、各部品の破格ともいえる価格に「ジャパネット向谷」「安さ爆発向谷」などの書き込みも。遮光板(2,000円)、非常パンタ下げスイッチ(2,000円)、NFB板(3,000円)を連続で当てた69番の男性が大垣在住とわかると、すかさず「大垣夜行」と書き込まれた(この男性は「日本車輌」の製造銘板も当てた)。生放送中のコメント数は計2万件を超えたという。
その他、販売されたのはヘッドライト(1万5,000円)、エンブレム(5万円)、タイフォン(1万円)、前照灯(5,000円)、尾灯(3,000円)、「小倉工場」「九州旅客鉄道」「東急車輛」製造銘板(各5,000円)、「クロハ481-203」「クロハ481-201」車両銘板(各5万円)、行先表示器(幕のみ5万円、指令機とセットで7万円)など。ほとんどが来場者に購入され、「世界初! 485系公開解体買付ショー」は大盛況だった。
なお、「ニコニコ超会議」2日目(4月29日)も、「超鉄道」ブースではさまざまなイベントが。トレインシミュレーター最強運転士大会や第1回エアトレイン全国大会、松本零士氏と向谷氏によるトークショーが開催されるほか、向谷氏を"ただの鉄道おじさん"と思っているユーザーのため、豪華ゲストを招いての「向谷実LIVE」も行われる予定だ。