オダギリジョーとチャン・ドンゴンが初共演を果たした。『シュリ』『ブラザーフッド』など、韓国で戦争映画の大作を撮ってきたカン・ジェギュ監督の最新作、『マイウェイ 12,000キロの真実』がその作品だ。

主演のオダギリジョーとチャン・ドンゴンに話を聞くことができた

第二次世界大戦末期、日本、ソ連、ドイツの軍服を着て戦った東洋人がいたという実話をもとに描かれる本作は、1928年日本占領下の朝鮮半島で幕を開ける。憲兵隊司令官の祖父をもつ日本人少年・長谷川辰雄(オダギリジョー)と使用人一家の息子で朝鮮人のキム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)。境遇はまったく違うものの、良きライバルとしてマラソンで五輪を目指す2人は次第に時代に翻弄されていく。

互いをライバル視していた?

今回、オダギリジョーは冷徹な軍人を演じ、今までの彼のイメージを壊すような役柄に挑戦している。一方、チャン・ドンゴンは過酷な戦時下でも友への優しさを忘れない朝鮮人兵士。演じるキャラクターは対照的だが、撮影現場ではお互いどのような印象を持ったのだろう。

現場でも役柄同様、ライバルだと感じたことがあったのでは? そう考え、相手より自分がまさっていると感じたところはどこか、と問いかけてみた。

オダギリ「ライバルなんて思うわけないじゃないですか。立場が違いますよ(笑)。役者としての在り方というか、その重宝のされ方というか(笑)。チャン・ドンゴンさんと同じ作品に出るなんて、僕にとっては身に合わないというか。なんていうんでしたっけ? 4文字くらいでなかったでしたっけ?(一同笑)とにかく身分が違うっていう感覚ですね」

ドンゴン「ははははっ(声を出して笑)」

劇中、冒頭では良いライバルとして切磋琢磨していた2人

オダギリ「なので、ライバルだと思ったことは一度もないですし、まさっている部分があると思ったこともありません。実は同じ質問が韓国でもあったんですね。そのときふと思ったのは、チャン・ドンゴンさんは飲み会の時に、皆が気づかないうちにすごくうまく消えるんです(一同爆笑)。ちゃんとわかってるんですね、スマートな抜け方を」

ドンゴン「ははははっ(笑)」

オダギリ「監督はべろんべろんになって朝まで飲んでしまう。そして僕はどっちかというとそれにつき合ってしまうタイプ。まさっているという言い方はおかしいけれど、お酒の席で長くいるってことに関しては、まあ勝てるところなのかなぁ(笑)」

ドンゴン「その点に関しては僕より間違いなく優れていると思います」

オダギリ「(笑)」

現場でドンゴンがオダギリに助けられたこと

ドンゴン「(オダギリさんに)会うまでは、どんな人なんだろうと思っていましたが、いざ撮影が始まってみると本当に頼る部分が多かったですね。なぜなら、僕がオダギリさんと演技をするときはほとんど日本語。監督も韓国人だから、日本語のセリフは完ぺきではありません。セリフのニュアンスや正確な発音ができているのかなど、その都度オダギリさんに頼るしかない。ちゃんと聞き取れた? 理解できた?と聞いて、オダギリさんに『わかった』と言ってもらえると自信を持って演技をすることができました。本当に頼りにしていました」

撮影中、偶然にも初めて自分の子どもが生まれるという経験もした二人。「同じ関心事ができたので、早く親しくなることができた」(ドンゴンさん)そうだ。また、オフの時間には、カラオケに行き、TUBE、サザンオールスターズ、徳永英明などをデュエットで歌ったとか。ファンならずとも誰もが覗いてみたいと思う場面なのでは。

朝鮮からソ連へ、そしてノルマンディーへと続く12,000キロにもおよぶ長い旅の物語。本物のマシンガンを使い、本物の戦車を走らせる現場は「この世のものとは思えないひどさ」(オダギリさん)だったという。その中で、ぶつかり合い、憎しみ合い、そして最後には人間としての尊厳を取り戻していく男を演じた二人。この競演を目撃せずして2012年は始まらない。

「この世のものとは思えないひどさ」だった戦場

PROFILE

オダギリジョー

1976年生まれ。2003年にカンヌ映画祭に正式出品された初主演作『アカルイミライ』で一躍注目を集める。その後、日本アカデミー賞新人賞などを受賞。『ゆれる』(2006年)、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007年)で2年連続して日本アカデミー賞主演男優賞を受賞。テレビドラマ『時効警察』(2006年)などでも人気を博す。昨年は『奇跡』で演じた主人公の父親役が評判に。

チャン・ドンゴン

1972年生まれ。1992年、韓国のテレビドラマで俳優としてデビュー。代表作は映画『友へチング』(2001年)、『ブラザーフッド』(2004年)など。日本では、ドラマ『イヴのすべて』(2000年)などで、「四天王」の一人として韓流ブームのけん引役に。本作のメガホンをとったカン・ジェギュ監督とは『ブラザーフッド』以来、2度目のタッグを組む。

『マイウェイ 12,000キロの真実』は1月14日(土)全国ロードショー

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