「寝顔を見られたくない」という安心感「リラックス」「リラックスワイド」
高速バスでは定番の4列シートと3列シートに、女性向けの配慮を加えた座席が「リラックス」シリーズ。その特徴は背もたれ上部に装備された「カノピー」だ。広げると半球状に降りてきて、顔の大半は隠れる。アイマスクなしでも遮光でき、僅かながら遮音効果もある。これなら隣の人を気にせずによく眠れそうだ……というのは男性の感想。
女性にとってはもっと大きな魅力があるという。それは「寝顔を晒さない」だ。マスクやスカーフで顔を覆ったり、身体を横にして窓側に向いたりと、寝顔を見られたくないために、女性は窮屈な思いをしていたそうで。カノピーはシンプルな仕掛けだけど効果は大きい。しかも低料金の設定というのもうれしい。
「リラックス」シリーズは「カノピー」の他に、シンプルな仕掛けの可動式枕、しっかりと足をホールドするレッグレスト、靴を脱いでくつろぐフットレストを装備。また、同社のエコノミー仕様「スタンダード」よりシート間隔を広くして、リクライニングを140度と深くしたという。座面の幅は「リラックス」が45.5cm。「リラックスワイド」が48.5cm。
「リラックス」シリーズはWILLER EXPRESSの定番シートとして採用路線も多い。料金はキャンペーンや各種割引を利用すれば関東 - 関西で4,000円から。関東 - 名古屋、関東 - 仙台では2,000円台後半から利用できる。
女性へ、さらに上質な空間を「プリマ」「エグゼクティブ」
「プリマ」は、おそらく高速バスで初の「女性専用設計座席」だ。「リラックス」シリーズは女性に配慮したとはいえ男性も利用できる。しかし「プリマ」は、女性専用車両だけに搭載されるシートとなっている。
「プリマ」は3列シートで、花柄のカラフルなシート生地を採用。カノピーの発想をランクアップさせて、どのシートも左右をカーテンで囲める「Myカーテン」を取り入れている。シート幅は「リラックス」とほぼ同じながら、リクライニングは146度とさらに深く、レッグレスト、フットレストは大きくなっている。シート全体を覆う真っ白なカバーを装着しており、清潔感も向上している。また、各座席に装備されたコンセントも嬉しい。
女性専用バスは2階建て車両を使用しており、1階にトイレがある。これも長距離移動時の安心感を高めている。実は「WILLER EXPRESS」ではトイレ付き車両は珍しい。その分サービスエリアの立ち寄り回数を増やし、「揺れない、広いサービスエリアのトイレを使っていただくこともサービスのひとつ」と考えているからという。
そして、女性専用バスの1階には、3席限定の「エグゼクティブ」シートがある。木目調と間接照明でコーディネートされた空間は広々。座席はWILLER EXPRESSで最大のシート幅80cm。リクライニングは142度。背もたれの上下、座面、レッグレストなどがすべて電動式で調整可能。シートの周囲をぐるっとカーテンで囲める。各座席にはデジタル放送を受信可能なテレビがあり、DVDプレーヤーも設置されているため、お気に入りの映像作品を持ち込んで楽しめる。
「プリマ」は関東 - 関西線に導入されており、料金は6,400円~9,500円。「エグゼクティブ」は関東 - 関西線と関西 - 博多・小倉間に導入されている。関東 - 関西線は女性専用車で料金は1万800円~1万2,800円。関西 - 博多・小倉間は男性も利用可能で、9,800円~1万2,800円となっている。
乗り物の座席は、老若男女の要望の最大公約数になりがち。新幹線や航空機では数百~千人単位で同じシート設計になる。バスの場合もコストを重視すると大量生産のシンプルなシートに統一される傾向にある。しかし、バスの1両単位なら、乗客のセグメント別に設計してもいいはず。そこに列車や航空機にはないサービスが生まれる。新幹線は普通車とグリーン車、飛行機はエコノミーとプレミアムの2クラス。しかしバスなら14種類から、予算と目的に合わせて、自分にぴったりの席を選べる。
WILLER EXPRESSでは今後も新シートを導入し続ける予定で、今年早々に新シートがデビューするとのこと。次はどんなアイデアが装備されるか楽しみだ。