厚生労働省の労働政策審議会は26日、小宮山洋子厚生労働大臣に対し、有期労働契約の在り方について建議を行った。これによると、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することが適当としている。
労働政策審議会の労働条件分科会では、2010年10月26日以降、有期労働契約の在り方について17回にわたり検討を行い、議論をしてきた。
同分科会によると、労働契約の期間の定めは、パート労働、派遣労働などを含め、いわゆる正社員以外の多くの労働形態に関わる労働契約の要素だが、労働市場における非正規労働者の割合が増大している中で、有期労働契約の利用に関する明確なルールがないことによる問題として、有期契約労働者の立場からは雇い止めへの不安や処遇に対する不満が多く指摘されている。
同分科会では、こうした有期労働契約の利用の課題に対処するため、有期労働契約の適正な利用のためのルールを明確化していく必要が高まっているとし、検討の結果、報告案をとりまとめ、労働政策審議会に報告。労働政策審議会はこの報告を受け、小宮山洋子厚生労働大臣に対し、建議を行った。
報告の主なポイントは以下の通りとなっている。
有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することが適当。
この場合、同一の労働者と使用者との間で、一定期間をおいて有期労働契約が再度締結された場合、反復更新された有期労働契約の期間の算定において、従前の有期労働契約と通算されないこととなる期間(クーリング期間)を定めることとし、クーリング期間は6カ月(※)とすることが適当。
※ 通算の対象となる有期労働契約の期間(複数ある場合にはその合計)が1年未満の場合にあっては、その2分の1に相当する期間
「雇止め法理」の法定化
「雇止め法理」の内容を制定法化し、明確化を図ることが適当。
期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消
有期労働契約の内容である労働条件については、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、期間の定めを理由とする不合理なものと認められるものであってはならないこととすることが適当。