東京証券取引所グループ(以下「東証グループ」)と大阪証券取引所(以下「大証」)は22日、同日開催の両社の取締役会における決議に基づき、両社の経営統合について合意し、統合契約を締結したと発表した。

東証グループは、東京証券取引所(以下「東証」)、東京証券取引所自主規制法人、日本証券クリアリング機構を含む連結子会社5社及び持分法適用関連会社4社を有する金融商品取引法上の金融商品取引所持株会社であり、取引所金融商品市場の開設・運営を主な事業内容としている。

東証が開設する取引所金融商品市場には、大きく分けて、株券、ETF、REITなどの有価証券を売買する現物市場と、TOPIX先物取引を中心とする指数先物や国債先物、オプション取引を行うデリバティブ市場があり、上場、売買、清算・決済から情報サービスの提供に至るまでの幅広い取引所ビジネスを展開している。

現物市場に上場する企業の時価総額合計は、世界の取引所の中で第3位、アジアでは最大の市場規模であり(2011年9月末時点)、これらの市場で取引される株式の売買代金は世界で第4位であるとともに、日本国内における上場株式の売買代金の約9割を占める(2010年1月~12月)。

一方、大証は、金融商品取引法上の株式会社金融商品取引所及び金融商品取引清算機関であり、取引所金融商品市場の開設・運営及び金融商品債務引受業を主な事業としている。大証が開設する取引所金融商品市場では、株価指数先物・オプション取引を始めとするデリバティブ取引及び市場第一部・第二部、JASDAQ及び上場投資信託受益証券(ETF)などを始めとする有価証券の売買を行っている。

その中でも、日経平均株価先物取引、日経225mini及び日経平均株価オプション取引は、我が国を代表するデリバティブ商品であり、これら商品を中核としたデリバティブ取引に係る業務は、大証の競争力の主要な源泉となっている。

両社を取り巻く環境は、情報通信技術の急速な発達に伴う金融取引システムの発展により、企業や投資家が世界のマーケットの中で最も投資環境の良い取引市場を選択して資金調達や投資活動を行うことが可能となったことで、国境を越えた取引所間での競争が激化している状況にある。

また、金融取引システムの発展とともに、投資家のニーズの複雑化・高度化が進んでおり、取引所間競争においては、こうしたニーズに耐え得るシステムの構築とその安定性・処理性能等の向上が、優位性確保に大きな影響を及ぼす状況となっている。

さらに、こうした環境を背景として、海外では国内の取引所同士及び国境を越えた取引所同士の合従連衡の動きが進んでおり、日本の取引所がグローバルな取引所間競争においてプレーヤーとして生き残るためには、規模の拡大、取扱い金融商品の多様化及びコスト削減などによる競争力の強化を通じて、流動性の高い効率的な市場を確立し、投資家及び企業の利便性を向上させることが不可欠となっている。

東証グループと大証は、このような外部環境について共通の危機意識を持ち、競争力強化などのための方策を検討してきた。その結果、互いに現物市場とデリバティブ市場という異なる得意分野を持ち、補完関係が成立する両社が経営統合を行い、システム統合などを推進することで両社にとって大きなシナジー効果が得られるとの認識で一致した。

また、今回経営統合により、国際的な金融センターとしてのプレゼンス向上が図られることは、市場利用者にとっても利便性向上などによる多大なメリットを創出し、さらには日本経済の再生に向けた金融資本市場全体の競争力強化に資するものと判断、両社は経営統合を行うことを合意した。