ブドウ品種も様々

白ワイン用品種では、ミュスカデやシュナン、ソーヴィニヨンなどが代表的 (c)Stevens Frnont

土地柄、各地から様々なブドウ品種が集まってきているため、バラエティに富んだテイストが堪能できる。まず白ワイン用品種からいくと、ミュスカデはシュール・リーという独特の製法により、フルーティで香りに富んだワインになり、先にも記したとおり、気軽で優れたコストパフォーマンスのワインとなる。ナントがこの品種の産地となる。ソーヴィニヨン・ブランはボルドー地方の白ワインの代表品種でもあるが、ロワールのソーヴィニヨン・ブランで造られるサンセールは傑出もの。こちらは中央フランスが産地となる。シュナンは甘口にも辛口にもなり、ロワールにはなくてはならない品種となっている。

赤ワイン用品種では、カベルネはカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランの両方を混醸することも多いが、カベルネ・フランだけで造られるシノンはしなやかで女性らしいワインになる。白ワインで名を馳せているロワールだが、先に紹介したトゥーレーヌのシノンは出物である。ボジョレーで有名なガメイは、ロワールでも積極的に造られている。ロワールでもヌーヴォー(この地方ではプリムールという)として発売される。グロローは、ロゼワインのベースとなるライトでフルーティな品種だ。

自然派の先端

ビオロジック農法、ビオディ並を実践するブドウ畑は全体の4%程度だが、転換中の栽培農家は250軒以上にのぼる (c)Philippe Caharel

近年、世界中の多くのワイン畑でビオロジック農法やビオディナミに転換する現象が起きている。ロワールはその先端を行っているといっても過言ではない。元祖ともいうべきニコラ・ジョリー、今やスター的存在のティエリー・ピュズラはいずれもこの地方でビオディナミを実践している。現在も250軒以上の農家がビオロジックもしくはビオディナミに転換中だ。

冒頭で「ロワールに行ったなら」と記したが、嬉しいことに日本でいずれのロワールワインも飲むことができる。しかもボルドーやブルゴーニュに比べたら価格はリーズナブル。飲み口も軽く、フルーティなものが多いので、あらゆる食事に合う(もちろん和食にも)。 ミュスカデやサンセールは生産量も多く、日本のワインショップでは必ず目にすることができるはずなので、まだ飲んだことのない方は一度試してみることをオススメする。