公益財団法人の家計経済研究所は12日、第18回となる「消費生活に関するパネル調査」の結果について公表した。このうち、「子ども手当の使いみちと家計」に関する調査で、子ども手当の使途をたずねたところ、回答は子ども手当を「全額貯蓄・保険にまわした」か、「全額を子どものための支出にまわした」に大きく二分された。

パネル調査は、年間消費支出額や貯蓄額などの調査項目に関して、同一個人を継続的に追跡し時系列を把握する調査。日本では、家計経済研究所の調査が代表的なパネル調査となっている。今回発表した第18回調査(2010年10月実施)の回答者は、全体で2,081人の女性(26歳~51歳、うち有配偶者1,395人、無配偶者686人)だった。

調査のうち、「子ども手当の使いみちと家計」に関する調査で、2010年4月から導入された子ども手当の使途をたずねたところ、回答は子ども手当を「全額貯蓄・保険にまわした」か、「全額を子どものための支出にまわした」に大きく二分された。

全額を貯蓄・保険にまわすと回答した世帯(「貯蓄世帯」)が全体で37.9%であった一方、貯蓄・保険には残さず、全額を子どものための支出の補てんに充てたという世帯(「補てん世帯」)は39.8%だった。

一番上の子どもの学齢別に、子ども手当の貯蓄世帯/補てん世帯の割合を見ると、子どもが未就学の世帯では、約半数の世帯が全額を貯蓄・保険に充てると回答しているが、学齢が上がるにつれ、その割合は減少する。また、全額を補てんに充てるという世帯は、中学生で大幅に増えている。

一番上の子どもの学齢別 子ども手当の貯蓄世帯/補てん世帯の割合

相対的に生活費や教育費の額が小さい未就学児や小学生の世帯では、「子ども手当を口座に『そのままにしている』世帯は少なくないようだ」(家計経済研究所)。ただし子どもの成長に伴い、「そのままにしている」ことができる世帯の割合は減少していく。

また、調査では、子ども手当の家計への影響について、一番上の子どもが小学生の世帯を対象に、9月の家計について、前年9月の家計からの変化をみてみた。特に、子ども手当を全額貯蓄・保険に充てた世帯(「貯蓄世帯」)と、全額を子どものための支出の補てんに充てた世帯(「補てん世帯」)の違いを、子どものための支出や貯蓄に注目して比較してみると、「子どものための支出」が大きく増加している様子はうかがえなかった。

貯蓄世帯と補てん世帯の家計比較

つまり、どちらのタイプの世帯も、子どものためだけの支出を前年以上に増やしているわけではなく、「1年という短期的なスパンでみれば、子ども手当は子どもへの支出を(追加的に)増やしたわけではないといえる」(家計経済研究所)。

なお、「貯蓄世帯」の方が、「家族全体のための支出」の伸びはやや大きい。家計経済研究所では、「子どものための貯蓄に相当するお金が定期的に給付されているという認識が、この部分の支出増加につながったと考えられる」としている。