1日、内臓を除く生食用の牛肉について、食品衛生法に基づく規格・表示の新基準が施工された。今度、ユッケをはじめとした生食肉のメニューはどうなっていくのだろうか。都内焼肉店の取材をもとにした焼肉業界の最新レポートをお届けする。
厚生労働省が設定した規格基準概要は以下の通り。
腸内細菌科菌群が陰性でなければならない
加工および調理は、生食用食肉に専用の設備を備えた衛生的な場所で行う
腸管出血性大腸菌のリスクなどの知識を持つ者が加工および調理を行う
加工に使用する肉塊は、枝肉から切り出された後、速やかに加熱殺菌を行う
以上のように、専用の加工設備が必要であったり、また加熱殺菌を施すことで可食部分が少なくなったりと、厳しい内容になった模様だ。
新基準で2倍以上の価格に
東京・御徒町に本店を置き、3店舗を展開する「焼肉もとやま」。これまで、ユッケは人気があり、主力メニューの1つでもあったが、現在は提供を停止している。代表取締役の本山雄貴氏は、「以前は一皿1,000円前後で出していましたが、新基準に沿って提供すると、これでは難しい。かといって安い肉は使いたくはないので、2,000円~2,500円で出すことになってしまいます」。
果たして高価になったユッケをオーダーするお客がいるのかどうか。「お客さんからは、以前は『もとやまさんなら大丈夫でしょう』と言われたりもしましたが、最近は出している店が少なくなったこともあり、ユッケを再開して欲しいとは言われなくなりました」とお客の反応も変化してきたとのことだ。
なお、飲食店などの店舗で提供・販売する場合は、消費者庁が設定した表示基準によって店頭やメニューなど店舗の見やすい場所に、「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあること」「子供、高齢者、食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えること」を表示する必要がある。これらの規格基準、表示基準に違反した場合は、食品衛生法に基づき、行政処分および罰則の対象となる。
「現在は、レバ刺しの販売も中止しています。お客様にはおいしい焼肉を楽しんでもらうために来店していただいているので、念には念をと対応しています。しかし、提供を中止するだけではなく、常に良質な食材を探し、魅力的な焼肉の種類を増やすことで、お客様に楽しんで頂き、飽きさせないようにしたいと思っています」。