BASELWORLD 2011 - プロフェッショナル・スペックを体現するジンの新製品

ブランド創立50周年を迎えるドイツの機械式時計メーカー、ジン。開発を担うコアメンバーは、CEOのローター・シュミット氏をはじめ、機械工学や物理学者など博士号を持つ人物が多い。そのため、時計メーカーらしくないユニークな発想や着眼点で、独自の設計やシステムを持つ時計を多くリリースしてきた。

たとえば「ARドライテクノロジー」。特殊乾燥剤(硫酸銅)を封入したドライカプセルの搭載、ケース内の静電気や不安定ガスを排除して放電腐食を防ぐプロテクトガス(希ガス)の充填、大気中からの水分浸透を最小限に抑えるEDR(超拡散削減)パッキンの採用により、ムーブメントの潤滑オイル劣化と、それによる時計の精度低下を防御する。

BASELWORLD 2011で同社が発表した新作、アニバーサリー・クロノグラフ「モデル358.アニバーサリー」もまた、ARドライテクノロジーを使用したモデルだ。特徴的なのは、クロノグラフのインダイヤル。通常30分積算計であるところを60分の積算計(3時位置)に変更して、30分積算の煩わしさを解消している。

ダイヤルカラーは、紫外線防止加工が施されたグレー。6時位置のカレンダー上部に記述された数字がジン50年の伝統を物語る。時・分針、クロノグラフ秒針およびインデックスはスーパールミノバ。

ムーブメントは、クロノグラフの名作「バルジュ7750」を元に、このモデルのためにジンが独自開発した新キャリバー「SZ05」を使用している。ケースはサテン仕上げのSS。サイズは直径42mm×厚さ15.5mmで10気圧防水。

予価はカウレザーストラップモデルが37万8,000円、ブレスレットモデルが43万2,600円。両モデル合わせて500本限定、夏の発売を予定している。

海水耐性と反磁気性の高いU-BOATスチールをケースに使用したダイバーズウォッチ「U200」の新作も登場した。昨年発表され、好評を博した37mmケースのユニセックスサイズ「U200」に、テギメント加工とブラックハードコーティングを施したモデルだ。

テギメント加工とは、窒素ガスを使用して金属素材そのものを硬化させる加工技術。ジンは、これを食品缶詰の加工から着想を得たという。これら複合的な加工により、結果的に「U200.W」は、通常のステンレスの5倍以上という高い硬度と対傷性を得た。また、200気圧の防水性能は、ドイツ・ハンブルクの船舶・潜水艦検査機関「ゲルマニアロイド」による耐圧テストを受け、その認定を受けている。加えて、ヨーロッパのダイバー器具規格EN205/EN14143にも適合。もちろん、前述のARドライテクノロジーも搭載している。

ケースサイズは37mm×14.5mm。ホワイトダイヤルが夜間蛍光し、インデックスと針はブラックスーパールミノバ。回転式ダイバーベゼルは、逆回転防止機構付き。特殊な技法で装着されており、外れることはない。

ムーブメントは「ETA2824-2」。注油されるオイルには「熱抵抗テクノロジー」を使用しており、マイナス45度から80度と、極寒から灼熱の動作環境を時計として実現。なお、このオイルを使用する製品は、ランダム抽出でなく全品検品を受けていることも覚えておきたい。想定されるあらゆるシーンで、確実に発揮されること。それこそが、ジンの考える高性能なのだ。

「U200.W」は予価33万6,000円で、7月発売。数量限定品ではないが、7月31日までの期間限定受注となっている。

そして、ジン最高水準の品質を持つパイロットウォッチ「900シリーズ」の新製品は、「900.フリーガー.S」。こちらも、SSケースにARドライテクノロジー＋テギメント加工＋ブラックハードコーティングモデルとなる。また、80,000A/m(アンペアパーメーター)という高い磁界を遮断(ちなみにJIS第2種規格では4,800A/m、上位規格で16,000A/m)する「マグネチックフィールドプロテクション・テクノロジー」を使用して、ムーブメントを守っている。磁気や電磁波の影響を受ける場所で活動するユーザーのためのプロフェッショナル・ギアだ。

ケースサイズは直径44mm×厚さ15.5mm。ムーブメントは「バルジュ7750」。ケース、ブレスともにブラック。予価は53万5,500円で今秋発売予定。日本ではブレスモデルのみの展開だが、海外ではシリコンストラップモデルも販売される。