富士山の伏流水を仕込水として使用

銅製のポットスチルを使って蒸留をする。見上げるような巨大釜だ

そしてもう1つ、ウイスキーを蒸留するのに欠かせないもの、それは「水」である。この仕込水のことをマザーウォーターと呼ぶのだが、「富士山麓 樽熟50°」には当然のことながら富士山の伏流水を使っている。日本一の山の恩恵を受けたまさに"母なる水"で造るウイスキーだと知ると、なんだかありがたい気分になる。

ここまで「富士山麓 樽熟50°」の製造方法を大雑把に説明したが、より詳しく見たい、知りたい、飲みたい。そんな人にはうれしい工場見学がある。原料のピート麦芽を手に取り、巨大な蒸留釜(ポットスチル)を目の当たりにし、ガラス越しでボトリングの様子も見られる。専門の見学ガイドが工場の中を案内してくれるのでとてもわかりやすい。見学の後にはお楽しみの試飲タイムがあり、「富士山麓 樽熟50°」の他にも「富士山麓 シングルモルト18年」など貴重なウイスキーの試飲も可能となっている(ただし一部有料)。

工場内では、瓶詰めラインの様子もガラス越しに見学可能。取材時は「フォアローゼズ」の瓶詰めが行われていた

ベストペアリングの富士山麓ハイボール×ウニ

工場見学を終え、早速私も自宅で「富士山麓 樽熟50°」のハイボールをつくってみた。確かに、ビールと同様で料理を選ばす万能選手だと改めて感動。もう少し突っ込んでいうと、ご存知の通りハイボールとはウイスキーを炭酸という酸で割ったものである。そう、"酸"だから酸っぱいのである。「富士山麓」にはピート麦芽が使われているので、香りに少し個性がある。

料理と酒のマリアージュにはいくつか基本的な法則があるのだが、この場合、料理と酒の双方が対極にあるもの(例: 塩辛い料理に甘い酒)ではなく、似た者同士を組み合わせることがポイントだ。例えば「富士山麓」でつくったハイボールにレモンをしぼったら、酸っぱくて刺激のあるキムチに合わせてみる。燻製にした沢庵(いぶりがっこ)やスモークチーズなど、香りに個性がある発酵食品とも好相性だ。燻製卵、ピータン……とても合う。

中でも、「富士山麓ハイボール」×「ウニ」の組み合わせは最強であった。ピートの香りとウニのまったり感が絶妙。ウニは瓶詰めで十分だ。

また、ハイボール単体で楽しむときは、少し濃い目につくってハーブの入った甘いリキュール(「ドランブイ」など)やベルモットなどを加えると、口当たりよくスムースになる。なければ普通のガムシロップでもいい。

気軽に飲める缶もいいが、自在に加減ができたり料理とのマリアージュの幅が広がったりと、何かとアレンジが楽しい自作ハイボール。自宅にボトルキープしてみてはいかがだろう。