【今日のCFD】英国FTSE100株価指数

12月に入り約6.9%も上昇している英FTSE100株価指数だが、先週より5900のラインが意識され上値の重い展開となっている。背景にはアイルランド危機が欧州金融機関の資金調達に及ぼすリスクについての懸念が市場で強まっており、金融株で売り圧力が強まっていることが挙げられる。

もちろん欧州当局者もただ手をこまねいているわけでない。

欧州連合(EU)首脳会議では、欧州安定メカニズム(ESM)創設に向けたEU基本条約の改正が合意され、欧州中央銀行(ECB)も債務危機へ対応するために自己資本を倍増(107.6億ユーロ)させる方針を打ち出した。しかし、この問題の根深さを象徴するように欧州債務危機に関する報道が鎮静化する兆しは見られない。

例えば大手格付け機関ムーディーズが、ギリシャの6つの銀行を格下げする可能性があると言及したことに加え、国際通貨基金(IMF)も『アイルランド債務危機に関し、同国へのエクスポージャーのある銀行にはドイツ、フランス、ベルギーだけでなく英国の銀行も含まれる』ことを指摘している。

それを裏付けるかのように英銀大手ロイズ・バンキング・グループ(LLOY.L)は『アイルランド財政問題により、同国の関連資産が更に10%毀損』と発表しており、本日もこの問題が材料視され銀行株で売り圧力が強まるようなら、金融株の影響を受け易い英FTSE100では、5900をレジスタンスに利益確定売り圧力が強まる可能性もでてこよう。

テクニカル的にも一度調整局面に入るシグナルが点灯し始めているように見える。まず日足で見ると、上昇基調のトレンドチャンネルに加え、アセンディング(上昇)・トライアングル(5900をレジスタンス、トレンドチャンネルをサポート)も形成され始めていることから中長期では強気と考えられる。 ただ、5900のラインで抑えられる期間が次第に長くなっている点が気がかりだ。現在の市場ではこのレベルを突破するだけのエネルギーがない証左と市場が感じ取れば、11月上旬のように利益確定売りを促すきっかけとなる可能性が出てくる。仮にその様な展開となった場合、それぞれのフィボナッチ(日足)の他、7月からの中期サポートラインでの攻防が注目される展開になることも考えられる。

1時間足でより詳細みると、5863(5908-5718の23.60%戻し)が目先のサポートポイントとして浮上する。すぐ下は5850-60で形成されているサポートゾーンがあるため、このレベルで反転するなら、短期サポートラインのブレイクは『だまし』の可能性が出てくる。しかし、5850レベルを一気に下抜ける展開となれば、市場が薄くなっている分一気に下へと走り5800のライントライとなる可能性も出てくるためリスク管理に注意が必要だろう。

なお、上値ポイントは5800を回復できるかがまずは焦点となりそうだ。

仮に突破しても5889レベル(12月17日欧州タイム高値)が意識される可能性もあり、そう簡単に5900の再トライという展開は考えにくいのではないか。

英国FTSE100株価指数 日足

英国FTSE100株価指数 1時間足