アジア時間概況
朝方は、比較的落ち着いた展開だった各市場。
米金利の動向に若干影響されやすいのか、ファンド筋による買いから金利低下となったことで、ドルは総じて昨日の海外時間で見せた上昇幅を削る展開となっている。
また、午前中に発表されたオーストラリアの雇用統計が市場予想を上回る内容(+5.46万人、予想+2万人)であったことを受け、豪ドルが対ドルで0.98台を回復し、その動きにつれてユーロは1.33台を回復。ドル円は83.80付近の買いとS/Lが混在する水準を割り込んで下落した。反面、今朝のRBNZ(ニュージーランド中央銀行)のハト派コメントから、対豪ドルなどでも軟調な展開となっている。
株式市場においては来週月曜日に発表予定だった中国の経済指標(消費者物価など)が今週土曜日に前倒しされたことや中央経済工作会議が開かれることを受けて、今週末までに中国人民銀行の政策金利引き上げが行われるのではないかという見方が台頭。そのため、香港・上海株式市場ともにやや反落基調になった。ただ、米株式先物市場が堅調に推移していることから、リスク思考という点では改善し、香港HS株価指数は前日の安値を割り込まずにもみ合いの状態となっている。
本日の主要経済指標
・17:00 南ア : 3Q経常収支
・18:00 ユーロ圏 : ECB(欧州中銀)月報
・18:30 英国 : 12月商品貿易収支
・20:00 南ア : 10月製造業生産
・21:00 英国 : BOE(英中銀)政策金利発表
・22:30 カナダ : 10月新築住宅価格指数
・22:30 米国 : 新規失業保険申請件数
・24:00 米国 : 10月卸売在庫
・27:00 米国 : 30年債入札(130億ドル)
欧米時間の見通し
米ドルの地合いは米金利の動向次第で、揺れ動いている。先週の米雇用統計を見る限り、FRBの金融緩和政策の変更があるとは思えないからだろう。明日にはFRBが債券買い入れ計画を発表する予定になっているうえ、来週14日のFOMCを前に積み上がっていたポジション調整の範囲内にとどまるのではないかと市場ではみている。よって、現状の米金利の展開からのドル買いも限定的になるかもしれない。
こういった中、米債券30年物入札が今晩予定されている。波乱要因とならなければ、金利面からの話題で市場への影響は限定的になろう。ただ、一部ファンド筋においてドル高方向に対するプロテクションの動きが出始めている模様。期間はばらばららしいが、アメリカ以外の要因でのドル買いの可能性を見出しているのかもしれない。
そう考えれば、欧州における話題は引き続き注意しておいた方が良いだろう。幾分落ち着いたとはいえ、アイルランド後の話題は尽きない。今週のユーロ圏財務相会合において、欧州共同債券発行に関して意見が出たようだが、ドイツ側は明らかに反対姿勢を出している。緊急融資制度の拡大についても、安易な内容ではなく対象となる国に対する条件をしっかりと議論する必要性を説いている。昨日の米金利上昇を受けてドイツ債券の利回りも7カ月ぶりの高水準になっており、前述のテクニカル的な要因かもしれないが、欧州内の安定化に向けてのプロセスに懸念が出ると欧州債券からの資本逃避が再燃する可能性がある。
いずれにせよ、この議論の行方は長引く可能性があり、2011年の各国の借り換え需要観測とも合わせて、当面ユーロおよび欧州市場の地合いは厳しいか。
唯一明るい材料としては、本日発表されたオーストラリアの雇用統計を受けて、市場が来年の利上げの可能性を模索していること。先週発表されたRBAの慎重な声明内容と成長率の緩やかな数値から、一旦は当面利上げなしに傾いていた市場だが、好調な資源関連価格と合わせて、上値を模索している様子。ただ、対ドルで0.99台目前まで迫るも、ユーロの反落が重石となっている。テクニカル的には、0.9780-0.9940の間のレンジに収まっており、まずは、今週の高値(0.9965)安値(0.9753)をいずれかを抜けるまでは慎重に見ていきたい。中国の利上げ観測があるうえに、0.99以上では売りが控えている模様。市場のリスクテイクがこれらの上値圧力をはねのける状態になるのかどうか。