歴代最高スコアで優勝
「他のバリスタが文化系だとしたら、自分は体育会系かな」。そう語るのは東京・渋谷のカフェ「ストリーマー・コーヒー・カンパニー(STREAMER COFFEE COMPANY)」オーナーの澤田洋史バリスタ。米国シアトルで開催された「フリーポア・ラテアート・チャンピオンシップ2008世界大会」にて歴代最高スコアでの優勝という輝かしい実績の持ち主だ。
澤田さんのことを今まで知らなかった人も、彼の作品を目にしている人は多いだろう。なぜなら、「ニコン COOLPIX S640」のTVCMでは木村拓哉さんと共演してラテアートを実演し、マクドナルドのコーヒーブランド「マックカフェ」のCMでは、華やかで美しいラテアートを披露しているからだ。
澤田バリスタの技術を紹介した本も発売されています
『フリーポア ラテアート』
澤田バリスタのフリーポア・ラテアート技術とアートバリエーションを完全収録。
2009年7月発売・B5変形判 107ページ
定価1,890円
ラテアートというと、ピックやつまようじなどを使ってウサギやくまなどのアートを仕上げるものを想像しがちだが、澤田さんはミルクの注ぎのみでアートを仕上げるフリーポア・ラテアートで私たちを楽しませてくれる。冒頭で触れた「自分は体育会系のバリスタ」のコメントは、澤田さんがカフェラテを淹れる様子を見ていればとてもよく理解できる。
高度なアートが次々と
エスプレッソの入ったカップに、ピッチャーから注がれるミルク。浮き上がってくるのはロゼッタ(リーフ)。「見たことある模様だよ」とお思いの方もいるだろうが、あっという間にもう1枚のロゼッタが。しかし澤田さんはミルクを注ぎ続け、「こぼれそう! 」とヒヤヒヤしてしまうほどミルクがカップの口ギリギリになったところで、さらにもう1枚。見事トリプルロゼッタのアートが完成した。
できあがったカフェラテに見とれていると、もう1杯淹れる澤田さん。今度もロゼッタかと思いきや、次はチューリップとロゼッタ、リースが浮かび上がってきた。
こちらは「リース チューリップ ロゼッタ」。澤田さんは、21gのコーヒー粉を使って20ccのエスプレッソを抽出する「トリプルショット」にミルクを注ぐ。こうすることでブラウンとホワイトのコントラストがくっきり |
……なんだろう。見ているだけなのに、ミルクがこぼれてしまわないかハラハラする。「次はどんな模様が出てくるのだろう」とワクワクもする。
「それが"体育会系"と言っている所以なんですよ」と澤田さん。「フリーポア・ラテアートは、スケートボードやロッククライミングといったエクストリームスポーツのスリル感覚と似てるんです」。確かに、見ている側からしても、その緊張感と高揚感は通じるところがある。