市場の最初の話題は日本の対応がどうなるか、ということですが、先週末までにある程度のシナリオがおりこまれてきているのか、週明けの日銀臨時会合の結果についても、インパクトはあまりなく、失望の円買いの方向に反応しています。
ただ、市場において多少気になることが水曜日の民主党代表選挙。最近のメディアによりますと、小沢さんの人気はかなり不評ながらも、現政権の政策・対外政策に対する不満、さらには鳩山さんのコメント次第では迷走する可能性もあるなど、日本の政治力に関して海外筋からは白けたムードが漂い始めているようです。
前週の白川日銀総裁が出席したシンポジウムにおいても、目立ったコメントもなかったことから、日本を絡めた議論が国際会議の場では薄れてきているのでしょうか? こういった中で、小沢さんが仮に首相となった場合には、さらなる財政出動という懸念が最有力とみているのか、債券市場においては警戒感から価格が下落し(つまりは、金利の上昇)となっています。
先週においてアイルランドに対する懸念から、PIIGSに対する懸念が再燃していますが、日本の財政赤字に対しても、市場は警戒しています。経常黒字国とはいえ、高齢・少子化が進みやすくなっている現状において単にばらまき戦略・以前のマニュフェストにこだわる姿勢に再転換する場合においては、不美人投票で好感されている円とはいえ、小沢氏となると現実路線の転換から、円に対するリスクが出てくる可能性があるのではないでしょうか?
そして、前述したアイルランドですが、政府の発表によれば計画通りにはならずに対GDP赤字が20%を超えてくる可能性が指摘され、ただでさえドイツ国債との利回りが拡大傾向にある南欧諸国においても懸念が再燃されてくる可能性が大きくなっています。
今週は、ECB理事会が開かれますが、ECBとしては金融政策のみにしかハンドリングできませんので、各国の財政規律に関してはECBのスタンスとしてのコメントはできたとしても、実際の行動は各国政府任せにならざるを得ないことから、トリシェECB総裁も記者会見においてユーロ安・新興国の高成長に支えられた外需という追い風があるも、ユーロ圏内の需要喚起が伴わないのであれば、強気の発言が維持できるのかどうか注目されます。
米経済に関してはバーナンキFRB議長も最大懸念を発していることから、ユーロ側においても同様のスタンスにかじ取りを修正するかどうかに注目してきましょう。
こういった中、日銀以外で注目となると、やはり米雇用統計に向けたカウントダウン的な毎日の米経済指標イベント。先週までのNY連銀、フィラデルフィア、リッチモンドなど雇用関連に関してはそれほど喜ばしい内容になっていないうえに、新規失業保険申請件数が50万件という数値となっていることから、雇用情勢に対する懸念はかなりあります。
その上、待機失業者数という話題もあることから、実際の米失業率に関しては11%近い数値になるのではないかという意見もあり、今週の米経済指標イベントに対しては、市場は悲観的なスタンスの方が優勢かもしれません。
ただ、IMM通貨先物ポジションを見る限りでは、ドルショートポジションが積み上がっているのは円と豪ドル、そしてカナダドル。この点を考慮すれば、ネガティブな話題になれば、ドル売りには転じやすい地合いにあるのかもしれません。つまりは、市場としても米雇用統計前においては、どちらにも動けるような状態にあるということでしょうか。
一方、この日米欧の足踏み状態の経済の中で、資源関連銘柄がかなり変動を受けやすい状態になります。流動性が低い上に、日米欧の株式市場という受け皿にあるべき資本が流入していることから、過渡に振れやすい状態にあるともいえます。
その資源関連では、今週はオーストラリアの経済指標が月・金曜日以外に発表されることから、中国・アジア経済の需要がどの程度影響しているのかに注目しておきましょう。資源輸出額においては2/3が日中とアジア諸国でしめられていることから、鈍化傾向がオーストラリア国内で見られるのであれば、多少上回っている金利状態でも金利面だけで好感することは厳しくなってしまいそうです。その上、政治情勢も依然としてハングパーラメントで、見通しは不透明。紆余曲折を経ると思われますので、資源銘柄にとっては一喜一憂の度合いが強くなるのでしょうか?
各地域・国においてかなり不透明要因がくすぶっており、デフレ・ニ番底という話題が先進国であり、新興国も独自性を維持できるかどうかの話題があり、リスクに関して、一旦は小休止といった8月初旬の地合いもいろいろ変動の再燃という気配です。どの取引においても上昇傾向を考えがちですが、ショート戦略もできるのがCFDとFXの強みであることを皆様の投資のスタンスに取り入れてみてはいかがでしょうか?
円 | 8/24/10 week | 8/17/10 week |
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Net | 51,069 | 49,969 |
ユーロ | 8/24/10 week | 8/17/10 week |
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Net | -21,603 | -14,627 |
ポンド | 8/24/10 week | 8/17/10 week |
---|---|---|
Net | -4,365 | -4,431 |
AUD | 8/24/10 week | 8/17/10 week | |
---|---|---|---|
Net | 47,017 | 57,679 |
主な経済指標
8月30日(月) |
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(NZ)7月貿易収支 |
(日)日銀緊急政策会合 |
(日)山口日銀副総裁 パネル討論に出席 |
(ユーロ圏)8月景況感・業況感指数 |
(米)7月個人所得・消費支出 |
(米)ブラード・セントルイス地区連銀総裁 会合で挨拶 |
英国は休場[バンクホリデー] |
8月31日(火) |
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(日)6月鉱工業生産 速報 |
(日)6月商業販売統計 |
(日)経済対策基本方針 決定? |
(豪)第2・四半期経常収支 |
(豪)7月豪小売売上高 |
(インド)第2四半期GDP |
(ドイツ)8月独失業率 |
(ユーロ圏8月消費者物価指数 速報値 |
(ユーロ圏)7月失業率 |
(南ア)7月貿易収支 |
(加)6月・第2四半期GDP |
(米)6月S&Pケース・シラー住宅価格指数 |
(米)8月シカゴ地区購買部協会景気指数 |
(米)8月消費者信頼感指数 |
(米)FOMC議事録発表 |
(その他)ブラジル金利決定会合 |
9月1日(水) |
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(日)民主党代表選告示 |
(日)10年利付国債の入札発行 |
(中)8月中国PMI |
(豪)第2・四半期豪GDP |
(ユーロ圏)8月製造業PMI 改定値 |
(米)MBA住宅ローン・借換え申請指数 |
(米)8月企業人員削減数 |
(米)8月ADP全米雇用報告 |
(米)8月ISM製造業景気指数 |
(米)フィッシャー・ダラス地区連銀総裁 講演 |
(欧州)スウェーデン中銀政策会合 |
(その他)ブラジル中銀金利発表 |
9月2日(木) |
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(豪)7月豪貿易収支 |
(欧州)スウェーデン中銀金利発表 |
(ユーロ圏)第2・四半期GDP改定値 |
(ユーロ圏)7月生産者物価指数 |
(ユーロ圏)ECB理事会 政策金利発表 |
(ユーロ圏)トリシェECB記者会見 |
(米)新規失業保険申請件数 |
(米)第2・四半期労働生産性・単位労働コスト 改定値 |
(米)7月製造業新規受注 |
(米)7月耐久財受注改定値 |
(米)7月住宅販売保留指数 |
(米)財務省10年インフレ連動債入札 |
(米)8月チェーンストア売上高 |
9月3日(金) |
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(ユーロ圏)8月サービス部門PMI 改定値 |
(ユーロ圏)7月小売売上高 |
(米)8月雇用統計 |
(米)8月ISM非製造業景気指数 |
(米)ロックハート・アトランタ地区連銀総裁 講演 |