――カップリング曲はかなり軽やかな感じになっていますね

atsuko「文化放送さんで4月から私たちがパーソナリティを務める番組「a-GENERATION」が始まったんですけど、そのお話をいただいたときに、ぜひこの新しい番組のオープニング曲を書かせてほしいと、自分たちからお願いしました。最初の収録まで1カ月しかなく、ほかの作品の制作も行っているという中、自分で自分の首を絞めて作った曲です(笑)」

――タイトルの「ツナガル→ム」にはどんな意味がこめられていますか?

atsuko「もちろんこれは造語なのですが、ラジオを聴いている方との繋がり、インターネットでの繋がり、Twitterなどでの繋がり。そういったいろいろな繋がり方があって、夜中に一人で部屋の中にいても、何かしらのツールを使えば、誰かといつでも繋がっていられる。そんな感じの歌になっています」

――かなり聴き心地のよい曲に仕上がっているのではないかと思うのですが、曲を作るうえで意識したことはありますか?

KATSU「新しく始まるラジオの曲ということで、ラジオといえば電波だろうと。そこから電波ソング? angelaがやる電波ソングってなんだ?、そういったところから入りました」

――もともとは「電波ソング」からのスタートだったんですか?

KATSU「そうなんです。でも、いわゆる電波ソングと呼ばれているものをそのままやっても面白くない。それで、ラジオというメディアは、なんとなく懐かしい匂いがする。一方で、Twitterなどは今風な感じがする。それなら、その中間はなんだろうって考えたときに出てきた答えが『テクノポップ』だったんですよ。それも今のテクノではなく、昔のYMOやイモ欽トリオみたいな感じ。そして、そこに声を加工するといった今風の感じを加えることで、angelaなりの電波ソングができないだろうか、というところで出来上がったのが『ツナガル→ム』なんですよ。内容はいたって今風。でもサウンド的には昭和のテクノみたいな感じになっています」

――それでサウンド的な懐かしさを感じるわけですね

KATSU「今回のレコーディングでは、80年代のテクノを復元するというのが難しくて、シンセも今のシンセではなく、昔のシンセを使ったりしています」

――やはり音が全然ちがいますか?

KATSU「昔のほうがいい意味でノイジー、荒っぽいんですよ。昔の名器と呼ばれているアナログシンセサイザーと、それをモデリングしたソフトシンセがあるんですけど、聞き比べるとやはり全然違っていて、その中でも決定的に違うのは、本物のアナログシンセのほうがノイズが多いんですよ。でも、そのノイズは決して悪いものではなく、サウンドになったときに、温かみになったりする。決して耳障りなノイズではなく、生き物的だったりするんですね。なので、そのあたりのノイズをちゃんと残すようにしています」

――それはいわゆるCDとレコードのちがいみたいなものですか?

KATSU「そうですね。昔、レコードなのに、デジタルサウンドと呼ばれているものがあったのですが、やはりレコードなのでアナログなんですよ(笑)。でもそこが魅力的だったんですね。今のデータは冷たいというか、硬いというか……。それが嫌で行き着いた先が、昔のYMOのサウンドでした」

――先ほど「ツナガル→ーム」のタイトルの由来をお伺いしましたが、「蒼い春」はどうして「蒼い春」になったのですか?

atsuko「単純に『青春』って言いたかったのですが、『青春』のままだとちょっとベタ過ぎるなと思ったので、最初は『青春○○』とか『××な青春』みたいなタイトルにしようかなと思っていたんですよ」

KATSU「昭和だね(笑)」

atsuko「それで最初に思いついたのが『青春リアル』だったんですけど、これとは別に『「リアル」は…』という曲を作っているし、実際に『青春リアル』という名前のテレビ番組がNHKでやっているということで、これはちょっとまずいなと。そこで『青い春』というタイトルにしたんですけど、プロデューサーから『"青"より"蒼"のほうが意味深でいいんじゃない?』みたいなことを言われまして……」

――『蒼穹のファフナー』繋がりというわけではないですよね

atsuko「それもちょっとあるみたいです(笑)。この後『ファフナー』もありますし、そこに繋げるという意味でも"蒼"のほうがいいんじゃないかと(笑)」

KATSU「僕たちは『アオハル』って呼んでます」

atsuko「そうなんです。通り名が『アオハル』ですかね (笑)」

――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします

atsuko「これまでのangelaの代表曲を知ってくださっている方は、『どうした、angela。こんなシングルは初めてだ』みたいに驚かれるかもしれませんが、実際に曲を聴いていただければ、作り込んだ歌詞や選び抜かれた音色、そういった私たちのこだわりを感じていただける作品になっていると思います。ジャケット写真や歌詞カードにも、こんなの初めて! みたいなかなり弾けた写真が使われていますし、歌詞を読んでいただければ、こんな感じの曲も書けるのかと、新しい驚きに繋がればいいなと思っています。この先、この路線で行くかどうかはわかりませんし、たぶんまた違ってくるとは思いますが、angelaの新しい一面が見える作品として楽しんでいただければいいなと思います」

KATSU「『蒼い春』に関しては、これまでangelaをコアに応援してくれていた人にとっては想定内だったかもしれませんが、断片的にしかangelaの曲を知らない人にとっては、ちょっと意外に感じるかもしれません。でも、あまり深く考えずに聴いてほしいですね。今回の曲はあくまでも『生徒会役員共』という作品に対する曲であり、どうすれば作品を面白くできるか、どうすれば作品に入りやすくなるかを考えて作ったわけですが、そこの部分は、シリアスな作品でもコメディでも同じことだと思います。むしろ、『生徒会役員共』のangelaとして、この曲を聴いて、楽しんでいただければいいなと思っています」

――ありがとうございました



『蒼い春』のジャケットイメージ

収録曲 01. 蒼い春
02. ツナガル→ム
03. 蒼い春 (off vocal ver.)
04. ツナガル→ム (off vocal ver.)
angela
発売日 2010年7月28日 品番 KICM-3212
価格 1,200円
発売元 キングレコード