昨日の海外市場
欧州では金融不安の後退、米国では雇用情勢の改善期待と百貨店の売上高が堅調だったことを受け、欧米株式は引き続き底堅い展開となった。IMFによる世界経済への強気の見通しも支援材料となった。
一方、為替市場では、トリシェECB総裁がユーロの経済成長に関してポジティブな見方を示したことがユーロ買いへとつながり、対ドルで5月以来となる1.27台を回復した。逆に、ポンドはBOE(英中銀)が資産買い取り額を据え置いたことを理由に、上値の重い展開となった。
本日の主要経済指標
・15:00 独・6月消費者物価指数
・17:30 英・5月商品貿易収支
・17:30 英・6月生産者仕入価格
・17:30 英・6月生産者出荷価格
・20:00 加・6月雇用ネット変化
・20:00 加・6月失業率
・21:15 加・6月住宅着工件数
・23:00 米・5月卸売在庫
本日のアジア市場動向
外部環境が徐々に好転している。欧州では、7月上旬に行われた国債入札がおおむね堅調だったこと、金融機関に対するストレステストへの不安感が後退したことにより、金融セクターが株価指数上昇のけん引役となっている。後者のストレステストでは、債務問題に直面するスペインの金融機関への楽観的な見通しに加え、ドイツの州立銀行もストレステストに合格する可能性が高いと報じられた。
米国へ目を向ければ、来週より本格化する主要企業決算と国内消費への期待感が、タカ派を活気づかせている。
金融不安から流動性危機へとつながり、世界経済が二番底に陥るとの観測が囁かれていただけに、欧米景況感の改善期待は、本日のアジア時間でも投資家のリスク選好を継続させる要因となりえるだろう。
また、中国の動向にも気になるところ。日本国債への投資を活発化させている中国だが、5月は一段と投資を加速させ、買い越し額が7,300億円を超えた。新興国のマネーが先進国へと流入し、長期金利を押し下げる構図は以前から指摘されている。今後も中国マネーが日本の国債市場に流入し続けのか、この点は市場でも様々な見方があるようだが、少なくとも短期的には低金利状態が継続する可能性があろう。
これは日本225種にとってはポジティブ要因になる可能性がある一方、円にとっては売り圧力が一層強まる可能性を示唆している。
本日は週末に加え、日曜日には参院選も控えている。また、来週から本格化する米企業決算発表前に、多くの投資家が一度利益確定売りへと走ることも考えられる。しかし、世界的な景況感回復の期待感を背景に、基調はリスクテイクトレンドへと回帰しつつあるのではないか。