アジア市場動向

欧州債務懸念の後退と米景気回復懸念の台頭により、アジア株式は上値の重い展開となった。日本225種は円高の影響もあり、終始売り優勢の展開が続けば、香港HSも米景気後退懸念が材料視され利益確定売りが先行した。

この株式市場の動向を受け、為替もリスク回避の展開へ。ユーロ円をはじめとしたクロス円で円高圧力が強まると、ドル円も87.30台を割り込む場面が見られた。その後は、若干ショートカバーが入るも上値は重く、欧州タイムを迎えた。

海外市況動向

欧州債務懸念が後退したといっても、それは一時的なものに過ぎないと思われる。債券市場では、ドイツと債務問題で苦しむ利回り格差の動向が不安定な状況が継続していることに加え、スペインでの住宅ローン隠し等、新たな懸念材料も出ている。

また、この問題を解決するために緊縮財政を進めれば、経済成長を停滞させる懸念にもつながるため、投資家の不安心理を煽る要因となっている。

一方、米国に目を向ければ、米景気減速懸念の台頭により投資家の質への逃避が鮮明になっている。

このように外部環境を考えれば、いつリスク回避傾向に転じもおかしくないが、このような状況下で買い戻しの要因を挙げるなら、米企業決算への期待感か。

来週12日の資源大手アルコア(AA.N)から本格化すると見られるが、すでに思惑は交錯している。ポジティブ観測が出れば、昨日同様欧米株式を下支えする要因となる可能性があるため、決済関連の報道には注視したいところだ。

また、10年債が年初来の低水準へと落ち込んだが、FFレートが実質的にこれ以上下げられない水準で推移していることを考えれば、一度利益確定から金利上昇(債券価格は下落)してもおかしくはない。

そのきっかけとして20:00に発表される米MBA住宅ローン申請指数に注目したい。前回のプラス8.8%を上回る内容となれば、投資家の資金が安全資産からリスク資産へと流れるトレンドが形成される可能性もあるからだ。

ユーロドル 日足

ウォール街株価指数 日足