アジア市場動向
世界経済の先行き不透明感を背景にアジア株式市場は総じてリスク回避の展開へ。日本225種も主力株を中心とした買いにより下支えされるも、今晩の米雇用統計への警戒感もあり上値の重い展開となった。
一方、為替市場は、スペイン国債の入札が問題なく終了したことによるユーロショートカバが継続した。これにより同じリスク通貨である豪ドルも上昇したが、欧州タイムが近付くにつれ米雇用統計への警戒感が次第に増したこともありポジション調整の売りにより下落した。
ドルも国内輸入業者のドル買いにより88.00のラインを一度は上抜けるも、ユーロや豪ドル同様、午後に入り徐々に下落し、欧州時間を迎えた。
海外市況動向
米中の予想外に弱い経済指標を受け、世界経済が二番底に陥るのではとの懸念が強まっている。これを背景に本日のアジア株式市場は総じて軟調な地合いとなり、今晩の米雇用統計へのイベントリスクを考えれば、本日の欧州株式もリスク回避を基調とした上値の重い展開となりそうだ。
引き続き注目される資源株に関しては、アジア市場でスポット金やWTI先物価格が下げ止まっていたが、米中の景気後退懸念とそれに伴う資源需要の縮小観測を考えれば、リスクを冒してまで買いに行く状況ではない。
また、同じ景気敏感セクターの金融株も、スペイン国債の入札が無難に消化されたことよりも、世界的な景気後退懸念というネガティブ要因に敏感に反応している点は見過ごせない。
なぜなら為替市場では正反対に、スペイン国債入札の件でユーロへの懸念は後退したとの観測から、短期筋や機関投資家の買いが対ドル、対円で進行していただけに、これが一過性の動きに終わる可能性が株式市場から見てとれるからである。
そして今後のリスクトレンド見極める上で、やはり6月の米雇用統計の内容は見過ごせない。非農業部門雇用者数変化の市場予想はマイナス12.5万人、失業率は9.7%から9.8%へ上昇する見通しとなっている。
ここ数日の米雇用関連指標は、雇用環境悪化の兆しが出てきた内容となっていることから、今回の米雇用統計の数値も低下するとの思惑がどこまで織り込まれているかが焦点となりそうだ。雇用情勢は、米経済のけん引役である消費動向に直接影響を与えるため、仮に市場予想よりも強い内容ならば、値ごろ感の出ている株を中心に買い優勢の状況が強まり、為替ではドルショートカバーとなるか注目される。
逆に弱い数値となった場合は、3連休も控えていることからリスク資産を一気に解消する動きが強まるシナリオも考えられる。