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アジア市場動向

アジア株式は強弱まちまちの展開。スペインの国債入札を無難に消化したことを背景にユーロの値動きが安定したことが、投資家の根強いリスク選好を誘発した。しかしその一方では、米景気が減速するのでは、との声も市場の一部で出始めたことから、週末を前に過度のリスクテイクは控えられた。

このようなファンダメンタルズの状況を受け、日本225種は小幅反落で終了。中国株式も香港HSが前日の欧米市場に追随したが、小幅高にとどまった。

一方、為替市場は米景気への不透明感からドル売りの展開となるも、大きな値動きは見られず。対円では90円台後半、対ユーロでは1.24を挟んでのボックス相場が継続した。 また、債務リスクが緩和したことにより資金が高金利通貨へと流れ、豪ドルは対ドルで0.87台、対円で79円台へと上昇する展開となった。

海外市況動向

いつ爆発するかわからない欧州債務危機に加え、米景気減速懸念も囁かれる中、アジアンタイムでは大きなリスク回避の動きみ見られず終了。また、本日は売買する材料に欠けることもあり、欧米市場も同様の展開となる可能性がある。

スペインが今回の国債入札で約35億ユーロを無事調達したことにより、債務危機が緩和の方向に向かっている。そのことを反映し、EUやIMF当局者により作成されたギリシャ救済プログラムの中間報告では、『同国の歳出統制の結果、プログラムは軌道に乗りつつある』との認識を示した。

このような状況に加え、ギリシャ国債格下げは新味に欠けることから、今のところ市場では旬な材料として取り上げる気配がない。そのため、しばらくはこの件で株式やユーロに急激なショートバイアスが強まる可能性は低そうだ。

むしろ、世界の株高を演出してきた米景気への懸念が昨日の経済指標により投資家の関心が集まっていることの方が、今は気がかりだ。

特に昨日の米新規失業保険申請件数の内容を見ると、製造業で人員削減が進んだ結果、申請者が増えたという内容には注目したい。なぜなら、米製造業の改善が雇用情勢を回復させるとの期待感が急速に後退すれば、米株や商品市場では週末を前に売り優勢の展開となるシナリオも考えられるからだ。

実際、アジアンタイムでの米株先物は上値が抑えられる展開となっており、投資家の不安心理を早くも反映している。

しかし本日は週末に加え、ワールドカップではドイツ、米国そしてイングランドと主要マーケットの国が1次リーグ突破を賭けた大事な一戦が控えている。更に米国ではゴルフの全米オープンも開催されるということで、欧米勢が果たして仕事に集中するかどうか疑わしい。このため上述したリスク懸念はひとまず置いといて、上下ともに小幅な推移で今週は終了する可能性がある。

ただ、このような時にポッと顔を出すのが投機筋だが、そんな彼らも本日はやはり仕事を早々に切り上げるか。本日はこのような視点で海外の動向を考えるのも面白い。

ユーロドル 日足

ウォール街株価指数 日足