72歳の双子歌手・こまどり姉妹の波乱の半生を綴ったドキュメンタリー映画『こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(片岡英子監督)が6月19日より大阪・第七芸術劇場で公開されることとなり31日、こまどり姉妹の長内栄子、長内敏子が大阪市内で会見を行った。

映画をPRするこまどり姉妹。左から長内栄子、長内敏子。

昭和30年代に一世を風靡し、今も現役歌手として精力的に活動を続けるこまどり姉妹。そんな2人を3年に渡って取材したという本作では、門付け(※家々を回り、門口で歌を披露して報酬をもらうこと)をして貧しい家計を支えた幼少時代、人気絶頂期に起きたファンによる凶行事件、妹・敏子を襲った末期ガン宣告など姉妹の壮絶な人生が、昭和の貴重な映像を交えながら描かれている。

現在も全国を飛び回り、歌と巧みなトークでステージをこなしているという2人。作品の感想を語った姉の栄子は「自分たちの顔があまりにも崩れちゃって、もっと若いときに撮ってもらえばよかったなと思いました」、敏子は「今日は朝3時に起きて顔を作ったのに、(作品を見て)泣いてしまってまた崩れちゃって、もう直しようがないです」と記者を笑わせるなど、会見でもサービス精神旺盛。「お客さんに喜んでいただけないと不安になっちゃうんです(笑)」(栄子)とプロのエンターテイナーぶりを発揮していた。

(C)2009 アルタミラピクチャーズ

また、姉妹が幼少期を過ごした北海道・銭函の町を今作の撮影で久々に訪れたと話し、「すごい吹雪の中の撮影で音声係の方が雪に埋もれてしまった。マイクだけが雪の中から突っ立っているような状態で、大丈夫かしら? 生きてるのかしら? と心配になりました(笑)」などエピソードも披露。2人の現在と過去を丁寧に取材し、完成した作品に「映像を見ると、やっぱり自分たちの昔を思い出して涙、涙なんですよ」(栄子)、「こんなに立派に作っていただいて、長生きしてよかったなと思います」(敏子)と感無量の様子だった。

「私たちを見に来てくださるファンは年齢が高い方ばかりなので、若い方は映画を見てくれないと思ってた」と語る2人だが、そんな予想に反し、観客は若い層が多いとか。敏子は「若いみなさんに見てもらえて、本当にうれしい。今は辛い時代ですし、"幸せ"もつかみどころがないけど、生きているだけで実は幸せ。自分なりに幸せになれる知恵を見つけて欲しい」、栄子は「私たちは子どものころ、飢えて死んでもしょうがないような状況でも『死にたくない』と必死で生きてきたんです。だから若い人たちにも、どんなことがあっても生きていて欲しい。このことが映画を通して伝われば」とメッセージを送っていた。