4月より放送枠が1時間に拡大されたフジテレビ"ノイタミナ"。4月期は15日より放送開始となった『さらい屋五葉』と、22日からスタートする『四畳半神話大系』の2本がラインナップされる。森見登美彦氏が原作を務める『四畳半神話大系』は、監督を湯浅政明氏、シリーズ構成をヨーロッパ企画の上田誠氏、キャラクター原案を中村佑介氏、キャラクターデザイン・総作画監督を伊東伸高氏、そしてアニメーション制作をマッドハウスが担当する。そこで今回は、本作の監督である湯浅政明氏が語った、作品の見どころなどを紹介しよう。

TVアニメ『四畳半神話大系』は2010年4月22日より放送開始

湯浅政明監督が語るノイタミナ『四畳半神話大系』

――『四畳半神話大系』の話を最初に聞いたときの感想はいかがでしたか?

湯浅政明監督

「なかなか決まらなかったんですよね。どの作品をやるか、いろいろと話し合っていて、最終的にこれなら決まりそうかなって作品が『四畳半神話大系』でした」

――監督を引き受けるという話が作品より先に決まっていたのですか?

「そうですね。何かやりましょうってお話をいただいていたのですが、作品のほうがなかなか決まらず、という感じでした。そんなときに話が出てきたのが『四畳半神話大系』だったんですよ。もう待ち望んでいたので、話を聞いた瞬間に、『はい、それで』っていう感じで(笑)」

――それでは実際に『四畳半神話大系』の原作を読んだときの印象はいかがでしたか?

「面白かったんですけど、難しいなっていう印象のほうが強かったですね」

――それは映像化が難しいということですか?

「中村(佑介)さんの絵という話も最初からあったので、作品を絵にすること自体は問題ないだろうと思っていたんですよ。ただ、文章で書かれたイメージをそのまま絵にして面白いのかなっていう印象が強くて。文章だから面白いのであって、意外とそれを絵にすると平凡なものになってしまうのではないかと。言葉で表現された面白さを、ちゃんと絵では表現できるのか? そこが最初の問題でした」

――いかにしてアニメーションとして見せるかというところですね

「僕が求めているものって、けっこう普通じゃないんですよ。何も起こらないことに不安を感じるんですよね。でも、実は何も起こす必要はないのかもしれない。小説を読んで、ただそれに背景をつけるだけでも十分に面白いかもしれないって思ったんですよ。とにかく語り口が面白いので、その語り口の面白さを映像にするにはどうすればいいか。実際に、そんなに動きがある作品ではないんですよね。動くというよりも、カットがパッパッって切り替わっていく感じで、そこに早口のナレーションがかぶさる。最終的にはそんなイメージでした」

――ナレーションの早口はすごいですよね

「文章の面白さを何とか取り入れたいと思ったんですよ。でも、それはストーリーの上ではまったく重要なことではない。でも入れたい。それならナレーションだなと。主人公がいろいろと考えているわけですよ、あれこれとくだらないことを。第三者からみると、本当にどうでもいいことを考えているんですけど、頭の中で考えるスピードというものは、たぶん喋るスピードよりも全然速いだろうと。つまり、頭で考えていることを普通のスピードで読むというのは少しちがうような気がする。そうなると自然と早口になってしまうわけですよ」

――聞き取れるギリギリぐらいのスピードですよね

「そうですね。聞き取れなくてもいいやぐらいの感じやってもらっています。考えている内容ではなく、何かを頭の中で考えているというイメージが伝えられればいいかなと。主人公は、いろいろなことをグダグダといつも考えていて、それを決められずにいる人なんだなっていう感じが伝わればよかったので」

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