FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。注目された米金融大手JPモルガン(JPM.N)の第1四半期の決算内容は、純利益で33億ドル、1株利益は0.74ドルと市場予想を上回った。

また、3月の米小売売上高もプラス1.6%、コアはプラス0.6%と共に強い内容となったことを受け、投資家のリスク許容度が拡大した。

株式市場では、景気敏感株である金融セクターや資源系セクターが指数上昇の牽引役となった。また、バーナンキFRB議長があらためて低金利政策を維持していく方針を示したことも、株式市場で好感された。

この株式上昇を受け、為替市場ではユーロ買い優勢の展開となり、これが商品相場へも波及。高値警戒感が強い中でもWTIは86ドルへ迫る展開となれば、貴金属価格も再び上昇基調へと転じた。

本日の主要経済指標

・10:00 豪・4月消費者インフレ期待

・11:00中・第1四半期GDP

・13:30 日・2月鉱工業生産

・13:30 日・2月稼働率指数

・17:00 ユーロ・ECB(欧州中銀)4月の月報

・21:30 米・新規失業保険申請件数

・21:30 米・4月NY連銀製造業景気指数

・22:00 米・2月対米証券投資

・22:15 米・3月鉱工業生産

・22:15 米・3月設備稼働率

・23:00 米・4月フィラデルフィア連銀指数

・26:00 米・4月NAHB住宅市場指数

要人発言

・09:30白川日銀総裁の発言

・15:00レーン欧州委員の発言

・23:30ラッカー・リッチモンド連銀総裁の発言

・25:15ブラード:セントルイス連銀総裁の発言

・26:40ロックハート:アトランタ連銀総裁の発言

注目されたJPモルガン(JPM.N)の第1四半期決算で、一株当たりが0.74ドルと市場予想の0.64ドルを上回った。インテル(INTC.O)の好決算と合わせて考えるならば、米景気回復の力強さをあらためて証明するかたちとなった。

また、米市場引け後に発表された米物流大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)(UPS.N)の第1四半期決算も、1株当たりで0.71ドルとなり、市場予想の0.57ドルを遥かに上回る内容となった。

このように米企業の好決算が続くと、本日のアジア市場でもリスクテイクの高まりが期待される。また、日米による金融緩和継続も株式市場の上昇に寄与する可能性があろう。

本日のアジアンタイムでの材料としては、欧州発のソブリン・リスクがひとまず後退しつつある中、市場を動かす可能性があるのが、米企業の決算内容ともうひとつは中国関連だろう。米企業に関しては、滑り出しが順調なことから株価の下支え要因となる可能性が高いが、中国関連は一筋縄ではいきそうもない。

本日11:00に中国ではGDP、生産者物価、消費者物価そして小売売上高に鉱工業生産と指標発表が目白押しとなっている。その中でも注目されるのはGDPの伸び率とインフレ指標関連だろう。GDPは前回のプラス10.7%に対し、今回は11.7%と更に上昇する見通しとなっている。また、消費者物価はプラス2.7%からプラス2.6%へ若干減少するとの予想だが、逆に生産者物価はプラス5.4%からプラス6.4%へ大幅に上昇するとの見通しとなっており、中国経済の力強さを感じられる。

仮に強い内容が続いた場合、米景気回復期待に加え、中国の持続的な経済成長を背景に株と欧州通貨は引き続きリスクテイクの対象となるだろう。

しかし、気になるのは資源需要観測だ。

インフレの高まりは、それを抑制するための金融引き締めを連想させる。昨日のエネルギー市場は、株高、ドル安そして米原油在庫の予想外の減少を受けての上昇が主因だった。しかし、市場ではファンダメンタルズとの乖離を示唆する声も依然から出ており、中国のインフレ関連指標で予想以上の強い内容となれば、資源系にとってはむしろ売り圧力が強まる可能性も出てくる。

また、懸案事項となっている人民元の切り上げ観測もクローズアップされる可能性もある。経済成長にふさわしい通貨価値を求める声が米国では高まっており、市場でもそれを意識した意見が根強い。クロス円は円安スピードが早かっただけに、ポジション調整の円買い戻しへとつながる可能性もある。

このため11時以降の為替の動きには要注意だろう。特にユーロとドルの動きは、商品市場へも影響するため、常にその動向を追って行きたいところだ。

日本225種株価指数 日足

ドル円 日足