FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。欧米株式は高値警戒感が出ている中、ソブリン・リスク懸念や商品相場の下落が上値を抑え軟調な地合いとなり、医薬品等のディフェンシブ銘柄や債券へと資金が流れた。

また、ホーニグ・カンザスシティー連銀総裁が、『低金利維持はバブルを誘発する』との発言が伝わると、米株式は下げ幅を拡大させたこともリスク回避の要因となった。一方、為替市場でも株式下落を受けリスク回避の円&ドル買い優勢の展開へ。特に欧州通貨の下落が目立った。ソブリン・リスクに加え、ユーロ圏4QGDPや3月の英PMIサービス業が市場予想を下回ったことも売り圧力を強めた。

本日の主要経済指標

・8:50 日本・2月国際収支-経常収支

・08:50 日本・2月機械受注

・10:30 豪・3月雇用統計

・14:00 日銀金融経済月報

・14:00 日本・3月景気ウォッチャー調査

・14:45 スイス・3月失業率

・15:00 日本・3月工作機械受注

・17:30 英・2月鉱工業生産

・17:30 英・2月製造業生産高

・18:00 ユーロ圏・2月小売売上高

・19:00 独・2月鉱工業生産

・19:00 南ア・2月製造業生産

・20:00 BOE(英中銀)政策金利

・20:45 ECB(欧州中銀)政策金利

・21:30 新規失業保険申請件数

要人発言等

・21:30 トリシェECB総裁記者会見

・21:30デュークFRB理事の発言

・23:30タルーロFRB理事の発言

・27:45コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁の発言

・29:00コーンFRB副議長の発言

欧米でも株高への調整が始まり、軒並み下落。本日の東京マーケットも、序盤から海外市場の影響を受ける可能性がある。為替市場では、ソブリン・リスクを背景に不安定な動きを強めている。

円相場も一時の円安トレンドの勢いを失いつつある。早朝の相場を見ても、ドル円は93円前半、ユーロ円は124円ミドルを挟んだ水準で推移しており、この円高基調が、輸出関連株での利益確定売りを誘発する公算が大きい。また、商品相場、特に1年半ぶりの高値圏をヒット後、WTIの下落が目立つことから、石油関連や商社株といった銘柄でも売り圧力が強まりそうだ。

更にアジア市場へ目を向ければ、中国では金融引き締め懸念が依然として根強い。ソブリン・リスクと共に金融セクターの上値を抑えれば、資源系と共にアジア市場でのリスク回避傾向を強める要因にもなり得る。また、週末にはオプションSQも控えており、昨日は破られなかった権利行使価格11250円での攻防も、本日の日本225種の動向を左右すると思われる。

そして注目の為替市場だが、ソブリン・リスクがメインテーマとして浮上している以上、円相場は上値の重い展開となる可能性が高い。ただ、資源国通貨では金利先高観を背景とした投資家の買いが根強いため、欧州通貨とのせめぎ合いがどうなるかが本日の焦点だろう。

その動向を左右する材料として、本日10:30に発表される3月の豪雇用統計に注目したい。RBA(豪準備銀行)は追加利上げの方針を既に示唆しているが、その理由として、同国内の景気回復基調の力強さが挙げられている。実際、先日発表されたRBA金融半期報告では、企業業績の回復が家計にも波及し、追加利上げにも対処できると言及している。家計でも対処できるということは、つまりそれだけの所得を得ている、もしくは得る手段があるということである。そしてその所得にダイレクトに影響を与える豪雇用情勢でも、RBAは力強さが感じていることから、追加利上げに自信を覗かせていると思われる。

実際、今回はプラス2.0万人前後と、前回のプラス0.04万人を大きく上回る見通しとなっている。仮に市場予想以上なら、豪ドルが上昇することにより欧州通貨の下落を相殺するシナリオが浮上する。そうなればドル円での下落幅も限られてくるため、株式や商品市場での過剰なリスク回避反応も起こらない可能性が出てこよう。

逆に市場予想を下回るようなら、クロス円が総崩れになりドル円や日本225種、そして商品相場でも下落圧力が強まる公算が大きくなろう。

AUDUSD 1時間足

日本225種株価指数 1時間足