その年を表す漢字一字を選定する「今年の漢字」は1995年より開始。はがきやFAX、インターネット等で11月より募集し、毎年12月に発表され、1年を振り返るというもの。今年は全国から16万1,365通が集まった。

  • 2009年「今年の漢字」は新

2009年「今年の漢字」は「新」

応募総数16万1,365票のうち、8.73%にあたる1万4,093票を集めて1位となった。

同協会によると「新」には(1)あたらしい。あらた。「新作」「新暦」(2)あたらしくする。あらたにする。「一新」「革新」―を意味する漢字。衆議院議員総選挙で政権が交代し、新人議員、新たな試みに注目が集まる中の新政権誕生が、決定的な理由として挙げられている。

その他、(1)イチロー選手が9年連続200本安打で大リーグ新記録を樹立するなどスポーツ界の新記録、(2)世界的に大流行、今なおその脅威が続く新型インフルエンザの影響、(3)裁判員制度やエコポイント、エコカー減税などの新制度、(4)次世代を担う新しい環境技術の開発・向上の話題や、金融危機以来語られる世界経済の構造変化、米大統領のノーベル平和賞受賞による平和への期待など新たな時代の始まりを感じ、野球やゴルフ界に誕生した新星にこれからの時代への希望を持ちたいという意見――が寄せられた。

同協会は2009年を「さまざまな『新しいこと』に期待し、恐怖を感じ、希望を抱いた一年」とした上で「世の中が新たな一歩を踏み出した今、新しい時代に期待したい」とコメントを寄せた。

順位 漢字 応募数(全体に占める割合)
1位 「新」 14,093票(8.73%)
2位 「薬」 10,184票(6.31%)
3位 「政」 5,356票(3.32%)
4位 「病」 5,329人(3.30%)
5位 「改」 4,711人(2.92%)
6位 「変」 3,585人(2.22%)
7位 「民」 3,443票(2.13%)
8位 「鳩」 3,337票(2.07%)
9位 「代」 3,284票(2.04%)
10位 「交」 3,033票(1.88%)
11位 「不」 2,984票(1.85%)
12位 「愛」 2,514票(1.56%)
13位 「嵐」 2,317票(1.44%)
14位 「革」 1,879票(1.16%)
15位 「乱」 1,604票(0.99%)
16位 「染」 1,442票(0.89%)
17位 「動」 1,392票(0.86%)
18位 「菌」 1,356票(0.84%)
19位 「流」 1,346票(0.83%)
20位 「麻」 1,291票(0.80%)

特筆すべきは、「政権交代」のうち「政」「交」「代」がベストテンにすべてランクイン。鳩山由紀夫首相の「鳩」も8位に入った。また、2位の「薬」は覚せい剤取締法違反の罪で有罪が確定した元女優、酒井法子さん、元俳優の押尾学容疑者による麻薬取締法違反事件が与えたインパクトが非常に大きかったことが窺える。

1995年~2008年までの「今年の漢字」一覧

その年の漢字 理由
1995年 「震」 阪神・淡路大震災やオウム真理教事件、金融機関などの崩壊に「震えた」年
1996年 「食」 0(オー)157食中毒事件や狂牛病の発生、税金と福祉を「食いもの」にした汚職事件の多発
1997年 「倒」 山一證券など経営破たんの続出や、サッカー日本代表が並いる競合を倒してのFIFAワールドカップ初出場決定
1998年 「毒」 和歌山のカレー毒物混入事件や、ダイオキシン、環境ホルモンなどが社会問題に
1999年 「末」 世紀末。東海村の臨界事故や警察の不祥事など信じられない事件が続出して「世も末」と実感。来年には「末広がり」を期待
2000年 「金」 シドニーオリンピックでの日本人選手の金メダル獲得や南北朝鮮統一の実現に向けた"金・金"首脳会談など
2001年 「戦」 米国同時多発テロ事件で世界情勢が一変し、対テロ戦争、炭そ菌との戦い、世界的な不況との戦いなど
2002年 「帰」 日本経済がバブル前の水準に「帰り」、昔の歌がリバイバルされ大ヒット。北朝鮮に拉致された5人が24年ぶりに帰国
2003年 「虎」 阪神タイガースの18年ぶりのリーグ優勝、「虎の尾をふむ」ようなイラク派遣問題など
2004年 「災」 台風や地震などの記録的な天災や、イラクでの人質殺害、子供の殺人事件などの人災が多発
2005年 「愛」 紀宮様のご成婚、「愛・地球博」の開催、各界で「アイちゃん」の愛称の女性が大活躍。残忍な少年犯罪など愛の足りない事件が多発したこと。「愛」の必要性と「愛」欠乏を実感した年
2006年 「命」 悠仁様のご誕生に日本中が祝福ムードに包まれた一方、いじめによる子どもの自殺、虐待、飲酒運転事故など痛ましい事件が多発。ひとつしかない命の重み、大切さを痛感した年
2007年 「偽」 身近な食品から政界、スポーツ選手にまで次々と「偽」が発覚して、何を信じたら良いのかわからなくなった年
2008年 「変」 日米の政界に起こった変化や政界的な金融情勢の変動、食の安全性に対する意識の変化、物価の上昇による生活の変化、世界的規模の気候異変など様々な変化を感じた年