処世術として使えるメモ
――メモは「節約」にも使えるそうですね
まずは前月のレシートや領収書をかき集めて、何にいくら使ったかを転記することをおすすめします。住居費や飲食費など項目ごとに書き出したら、マルで囲んで合計してみてください。私はこれを1年分算出したことがあります。まず判明したのはクレジットカードの年会費が意外に多かったということ。逆に思ったより少なかったのが喫茶店での出費。計算すると1年間で8万円しか使っていませんでした。このように「見える化」すると、これは無駄だな、と再認識します。そうすることで、あえて「節約しなければ」と力まなくても、自然と出費を控えるようになります。
――会食時やデートなど、その場でメモしにくい状況のときはどうすればいいですか?
「ちょっとトイレに行ってきます」と立って書くことはできます。ただ、目上の方と会食する際はむしろノートを出したほうがいいと、最近は感じています。「今大事なことをおっしゃったので、メモをとってもよろしいですか」と言うと「熱意がある」と、好意的に受け取ってくださることが多いんです。なかには「失礼だ」ととる方もいますから、必要に応じて区別していただきたいとは思いますが。
また、上司の話を聞く際に何もメモをとらない人がいますが、そうすると「こいつは大丈夫か」と不安に感じさせてしまいます。上司は自分の言ったことが軽んじられているととってしまう。ポーズでもいいので言われたことをきっちり書く、上司に呼ばれたら必ずメモを持っていく。これをやるだけで「しっかりしているな」と思われるんです。これはビジネス処世術として非常に大事なことだと思います。
――最後に、メモをとることで一番大事なことを教えてください?
- 「頭の中で考える」
- 「メモとしてアウトプットする」
- 「脳の潜在意識に格納され、日常生活の中で自動的に思考が熟成される」
- 「メモにアウトプットを追加する」
- 「また脳が自動思考を始める」
これが、思考メモの真髄です。
メモは自分の人生をより豊かに、充実させるためにとるもの。そうならなかったり、やたらと面倒な手法だったりすると、何かしら間違っているのでは、と感じます。自分が成しえたいこと、身につけたいこと、なりたい姿や状態があったうえで書くからこそ機能する。そのための努力を惜しまない人が書くのであれば意味がありますが、「楽してやりすごそう」とか「俺はこんなもんでいいんだ」という人はやめたほうがいいですね。
また、みなさんに気をつけていただきたいのは、「情報を整理する」のがメモをとる目的ではないということ。「情報は使うためにある」。これを忘れないでください。
(撮影 : 中村浩二)
INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)
中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者にインタビューするポッドキャスト「人生を変える一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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