山田養蜂場はこのほど、岡山大学大学院 川崎博巳教授との共同研究で、ローヤルゼリーが糖尿病になる一歩手前(糖尿病予備群)の初期症状であるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる異常状態)の予防に効果があることを明らかにした。研究成果は、日本薬学会が発行している学術誌『Biological Pharmaceutical Bulletin』に掲載されている。
ローヤルゼリーは、ミツバチの働き蜂が花の花粉や蜂蜜を食べ、女王蜂の特別食として分泌するもの。色は乳白色で、ヨーグルト状をしている。良質なタンパク質に富み、ビタミンやミネラルのバランスが良いと言われており、更年期症状の改善など様々な、生理調節機能に対する効果が研究報告されつつあるという。
同社はこれまでに、遺伝的に糖尿病を発症するラットを用いて試験を行い、ローヤルゼリーがインスリン抵抗性の発症を予防することを論文報告している。今回の試験では、糖尿病の遺伝的素因を持たない正常なラットを使用。8週間、飲み水の代わりに15%フルクトース(果糖)飲料水を与えたラット群と、同じく8週間15%フルクトース飲料水とローヤルゼリーを飲ませたラット群を比較することで、効果の検証が行われた。
試験の結果、前者はインスリン抵抗性指数(HOMA値)が上昇し(インスリン抵抗性の状態)、血清中性脂肪量が増加したという。一方、後者は、HOMA値が正常ラットと同程度に低く、インスリン抵抗性の進行が抑制されていることが確認できたとしている。また、血清中性脂肪量が低下し、欠陥収縮の反応性が改善されたという。
これら一連の結果から、ローヤルゼリーは糖尿病の遺伝的素因の有無に係らず、正常なときから摂取することにより、糖尿病予備群の初期症状を予防するものと考えられると結論付けている。また、血清の中世脂肪の上昇および欠陥の過度な収縮の予防効果も示されたとしている。
岡山大学大学院の川崎教授はこれらの成果に対し、「インスリン抵抗性は、糖尿病予備群のほかメタボリックシンドロームにおける初期段階の重要な兆候。これまでの研究結果から、糖尿病およびメタボリックシンドロームの初期症状を予防する可能性が考えられる」とコメントしている。