マリー・アントワネットへのオマージュ展

ブレゲは現在、東京・銀座にある「ニコラス・G・ハイエックセンター」にて「マリー・アントワネットへのオマージュ展」を開催している。展示されているのは、「マリー・アントワネット」と呼ばれる超複雑時計「No.160」を精巧に再現した「No.1160」。同時計が日本で公開されるのは初めてとのこと。

原型である「No.160」は、ブレゲの創設者であるアブラアン・ルイ・ブレゲが1783年に「マリー・アントワネット王妃のために最も美しく、最も複雑な時計を作ってほしい」という注文を受け、44年の歳月をかけて製作されたという。部品に金などの高価な素材が使われていたほか、ペルペチュエルと呼ばれる自動巻き、永久カレンダーや独立秒針など、当時開発されていたあらゆる複雑時計の機能を備えており、史上稀に見る「傑作」であったという。しかし、1983年に、当時展示されていた「L.A.メイヤー記念イスラム美術館」で盗難にあい、以降行方不明となってその存在は伝説となっていたとのこと。

「No.1160」。資料の少ない中、ブレゲの技術者達が当時の時計技術を再開発し、「No.160」の精巧な再現を実現したという。

「N0.1160」は、当時の時計技術の結晶とも言える「No.160」が伝説のまま失われてしまうことを憂えた同社が、2005年に製作を開始し、2007年末頃に完成させたもの。「No.160」に関する詳細な資料が皆無に等しかったため、同社の技術者達が当時の技術を再開発することになったという。なお、偶然にも「No.1160」の完成とほぼ同時期に、行方不明であった「No.160」が発見されたという。

オークの木で作られた「No.1160」の化粧箱。この木はマリー・アントワネットのお気に入りだったとのことで、ヴェルサイユ宮殿で切り倒されることとなったため、ブレゲに提供されたという

また同展では、ヴェルサイユ宮殿の庭に植えられていたオークの木で作られた、「No.1160」のための化粧箱も展示されている。この木はマリー・アントワネットのお気に入りだったとされ、切り倒されることとなったため、ブレゲに提供されたという。

展示会の開催期間は31日までで、開場時間は11時~20時。ただし、23日は招待者限定の内覧会となる。