赤ワインメインのブルゲンラント州
次に紹介するブルゲンラント州はハンガリーに隣接。南北100km以上の地に、約1万5,000haの作付け面積を持つ。栽培地区は4つ。ブラウフレンキッシュという品種を使った赤ワインが主であるが、近年カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといった国際品種などでも成功を収めている。オーストリアの赤ワインのうち半分が、この地域で造られている。
造り手 | 栽培地域 |
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イベントでテイスティングしたワイン名と造り手の特徴 | |
エスターハージー | ノイジートラーゼ ヒューゲルラント |
「カベルネ・ソーヴィニヨン / ブラウフレンキッシュ2006」 / エスターハージー家はハンガリー帝国時代、ハプスブルク家と親交が厚く、また40年にわたり音楽家ハイドンのパトロンを続け、政治的にも重要な役目を果たしていた家系。アイテムはスパークリング、白、赤、甘口と幅広い | |
ベニガー | ミッテルブルゲンラント |
「ヴェラティナ バリック2003」 / 180年の歴史を持つが、来日したフランツ・ベニガー氏は1982年にオーナーになり、2006年からビオディナミに移行。気候、土壌、品種が反映されたワイン造りを哲学とし、ブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルトなどの赤ワイン用品種から高品質なワインを造り続けている | |
クラッハー | ノイジートラーゼ |
「トロッケンベーレンアウスレーゼ グランデキュベ2006」 / テイスティングのみで今回は来日なし。貴腐ワインというと隣国のハンガリーのトカイが有名だが、ノイジートラーゼ湖付近でも良質な貴腐ワインができる。秋になると夜霧が翌日まで残り、午後には太陽で乾く微妙な起伏の土地が貴腐菌をつけるという。多少の辛口ワインも造るが、クラッハーは貴腐ワインやアイスワインといった甘口ワインが有名 |
「カベルネ・ソーヴィニヨン / ブラウフレンキッシュ2006」 |
「ヴェラティナ バリック2003」 |
「トロッケンベーレンアウスレーゼ グランデキュベ2006」 |
ソーヴィニヨン・ブランに適したシュタイヤーマルク州
「ソーヴィニヨン・ブラン グラスニッツベルグ2007」 |
シュタイヤーマルク州は、オーストリア南部スロヴェニアに隣接する地域で、栽培面積は約4,500ha。栽培地区は3つあり、そのほとんどが白ワインである。国内消費用のライトでフルーティなワインが多いが、今回来日したテメントのように国際市場を意識した造り手も増えてきている。
貝殻石灰岩の土壌であるこの地域はソーヴィニヨンに最も適しているといい、グリューナー・フェルトリーナー、リースリングは栽培していない。ソーヴィニヨン・ブランの産地として有名なロワール(フランス)は豊富なミネラル、近年頭角を表しているニュージーランドはアロマが特徴だが、ここシュタイヤーマルクはその中間だという。
造り手 | 栽培地域 |
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イベントでテイスティングしたワイン名と造り手の特徴 | |
テメント | ズュートオストシュタイヤーマルク |
「ソーヴィニヨン・ブラン グラスニッツベルグ2007」 / マンフレッド・テメント氏は"Mr.ソーヴィニヨン・ブラン"の異名を持つほどソーヴィニヨン・ブラン使いの名士である |
首都ウィーンでも栽培
「ゲミシュターサッツ ヌスベルグ グランデ レゼルブ2007」 |
最後はウィーン。言わずと知れたオーストリアの首都で、栽培面積は700ha。グリューナー・フェルトリーナー、ノイブルガー、ヴァイスブルグンダーといった品種から造る「ホイリゲ」という新酒がつとに有名である。またゲミシュターサッツという"混醸"に取り組む動きも活発になってきている。
造り手 | 栽培地域 |
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イベントでテイスティングしたワイン名と造り手の特徴 | |
ザーヘル | ウィーン |
「ゲミシュターサッツ ヌスベルグ グランデ レゼルブ2007」 / ホイリゲの代名詞ともいえる造り手であるが、近年ゲミシュターサッツにも積極的に取り組んでいる。オーストリアワインは品種をブレンドすることなく単一品種100%で造られるワインが多い中、今回試飲したのはグリューナー・フェルトリーナー、リースリング、トラミナーなど9種類のブドウをブレンドしたもの |
以上、栽培面積としては決して大きいとはいえないが品種、土壌やミクロクリマ(天候)の違いから、バラエティに富んだオーストリアワインを体験することができた(輸入元はエイ・ダヴリュー・エイ)。折しも今年は日墺修交140年という節目の年。「日本オーストリア交流年2009」というイベントが年間を通じて行われているので、ぜひオーストリアワインを味わってみてほしい。