"メタボリックな人には2倍の航空券代を請求する―"という航空会社のポリシーが米国を中心に広がりつつある。

米シカゴを拠点とするユナイテッド航空は、4月15日から1人分の座席に安全かつ快適に着席することができない乗客に対して、満席便での予約を取り消すという方針の適用を開始した。

今回の措置が適用になるのは、2人分の座席を必要とする人でも1人分の料金しか請求してはならないという"one - passenger - one - fare"のポリシーが定めれているカナダを除く、世界全路線。具体的には、シートベルトの着用がエクステンション(延長ベルト)を使用しても不可能な乗客や、アームレストを下ろした状態での着席ができない乗客が対象になる。該当する乗客には2席分の座席を購入することが求められ、満席の場合には後発便で2席分を購入することになる。ただし、機内の座席に余裕がある場合には、追加料金なしで2席分を利用することができるとしている。また、この措置を理由に搭乗をキャンセルした場合は、チケット代はキャンセル料金なしで返金されるとのことだ。

米国のその他の主要航空会社で既に同様の方針を導入しているところもある。コンチネンタル航空では、エコノミークラスの乗客に対して、通常の座席に安全に着席できない体格の人には2席分の航空券の購入、またはアップグレードによる座席の変更を求め、これに応じられない場合は搭乗を拒否するポリシーがウェブサイトにも明記されている。

一方、米航空最大手のデルタ航空の場合には、満席で2席分を利用できない場合に限り、次の便の2席目の料金を最安値のレートで購入する選択肢を提案しているといい、強制力は持たない柔軟な対応ではあるものの、他航空と同様の措置が取られている。

航空業界のこうした動向は、第一には乗客の安全面を考えてのこと。しかし実際には、こうした乗客と隣り合わせになった他の乗客から寄せられた多数の苦情に応え、対応したというのも背景にあるようだ。

アイルランドを拠点とするローコストエアライン欧州最大手のライアン・エアーは、現地時間の4月17日18時まで同社ウェブサイト上で実施する「導入すべき有料サービス」のアイデアコンテストの投票結果の途中経過を発表している。それによると、BMI値に応じて追加料金を徴収する"Fat Tax"への投票数は全体の40%を占めており、"有料喫煙室(3ユーロ)"、"トイレットペーパーの有料化(1ユーロ)"といったその他の候補を押さえ、現地点で1位となっているという。

航空業界の"メタボ課金"の動きは、米国のみならず、今後世界的に波及しそうな予感だ。