若者に建設業界に呼び戻す


――日本建設業団体連合会とはどういった団体なのでしょうか?

日本建設業団体連合会 委員会担当 本田一幸氏

本田 普通は聞いたことがない団体ですよね。簡単に説明すると日建連とは大手建設業社の業界団体で、業界全体の広報が主な活動です。

井須 個々の(加盟)企業ができないような広報を我々が行っています。建設業界そのもののイメージアップですね。特に近年は若者、高校生や大学生をターゲットにして建設業を理解していただけるような広報を展開しています。この「BUILD UP!」もそうした活動の一環です。

――従来の建設業のイメージとは違って、かなりくだけた内容ですね。

本田 特に建設業はほかの業界よりも、保守的でイメージもあまり良くない。なにかしらPRしていかないと、若い人は見向きもしてくれない。イメージチェンジをしたかったので、関心を持ってもらえるようなかたちで、なにか打ち出せないかということから、日本経済社さんと今回の企画を始めたんです。ウェブサイトなら若い人は見る機会が多いですから。

――キャッチコピーが「建てノリ」ですが、最初からノリがいいものを?

日本建設業団体連合会 副調査役 井須淳志氏

本田 そうですね。建設業を目指す若い人は少なくなってきています。業界内では危機感がある。若い人に興味を持ってもらうことが一番のテーマなんですよ。なのに、従来のイメージで堅いサイトを、おじさんの視点で作っても見てもらえませんから。業界のことを知ってもらいたいというのが本音ですけど、まずアクセスをしてもらわないとなにも始まらない。なんだかわからないけど「面白いサイトがあるね」というようなかたちで人を惹きつけるのがコンセプトなんです。それがゲーム要素であり、音楽でした。

建設現場の生音も収録


――実際の工事現場で収録されたのでしょうか?

日本経済社 クロスコミュニケーション局 クリエイティブディレクション部 廣瀬誠氏。Webサイト制作などのディレクションを手がけた

廣瀬 現場で収録したものも含まれていて半分以上は生音です。ユーザーがマウス操作で音源を組み合わせて音楽が作れるわけですが、組み合わせが何万通りという数になるので、どれを選択しても音楽ができるように、音源の選び方から、つなぎ方、リズムの作り方を含めて、音作りに関してはプロの方にお手伝いしてもらっています。その方が元々、趣味で建設現場の音を集めていたので音源をお借りしました。

――確かに適当に配置しても心地よい音楽になります。

廣瀬 そうなんですよ。建機の音だけではなくて、設計図を書いている音とかも入っているんですが、絶妙なバランスで選び抜かれていて、その調整にはすごく時間をかけました。

トラックに音源を入れるとアニメーションとともに音楽が流れ出す。音源は6種類まで組み合わせることができ、各音源は音量調節が可能。テンポは3種類から選択できる

――その音楽に関してですが、建設業というとハードロックな印象なのに「BUILD UP!」はテクノというのが面白いところですね。

渡辺 建設現場は"ガンガンガン!"というように騒音のイメージがありますが、きれいなメロディーにもなるんだよという意外性を出したかった。逆転の発想ですね。

廣瀬 それにあえてテクノにこだわったわけではないんですよ。作る人によってはテクノ風に聞こえるかもしれませんが、ゆるい感じのバラードを作ったりもできる。いろんな組み合わせができるようにしています。