新潮社が刊行した正縮尺の鉄道地図「日本鉄道旅行地図帳」が売れている。同社出版部によると、すでに発売された1号「北海道」(5月)と2号「東北」(6月)を合わせて18万部に達したという。同書は路線図が歪んだこれまでの鉄道地図と違い、正確な縮尺の地形図に営業中の旅客鉄道路線と駅を忠実に配置することにこだわって作られたとのこと。地図に関する多くの著作を持つ地図研究家・今尾恵介氏が監修を務めたという。

「日本鉄道旅行地図帳」2号「東北」の表紙(左)
正縮尺の地形図に路線図が描かれて見やすい(右)

同社出版部によれば、企画の段階ではかなりマニアックな鉄道ファンを読者として想定しており、一般読者は手にすら取らないと考えていたとのこと。しかし、発売してみると幅広い層から反響があり、意外にも中高年の読者が多いことが判明したという。時間にゆとりがある人々が、誌面でも旅を楽しんでいるのでは、と同社編集部は推測する。なお、読者の男女比は、男性7割、女性3割だという。

また、ヒットの原因は、これまでになかった正縮尺の鉄道地図であることに加え、廃線や廃駅についても詳しい情報が掲載されていることが大きいという。同社編集部では、「鉄道地図を見ているうちに、これまでの旅行を思い出して懐かしむなど、読者自身が地図ならではの楽しみ方を発見したのでは」としている。

同シリーズは、地方ごとに毎月18日に1冊ずつ全12冊と別巻1冊が刊行される。すでに店頭に並んだ「北海道」「東北」に続き、以後「関東(1)」「関東(2)」「東京」「北信越」「東海」「関西(1)」「関西(2)」「大阪」「中国・四国」「九州」と別巻「旧領土・旧植民地編」が発売される予定だ。定価は各号680円。18日までは、予約特典付きの一括予約を受け付けている。

路線別の駅名一覧表もある 名駅舎100選の紹介も。北海道からは8駅が選ばれた
車輌基地や国鉄の予定線・未成線といったマニアックな情報も満載 廃線や廃駅についても、詳しく紹介されている