シンガポール航空日本支社は15日、同社最新鋭機A380に搭載するキャビン設備を日本で初めて公開した。5月20日に予定されている同社A380日本就航に先駆け、先ごろオープンした赤坂サカスの特設エリアでは、新設された「スイート」をはじめ、ビジネス、エコノミーの3クラスの各キャビンが再現され、報道陣に公開された。このキャビン展示は、東京・赤坂の「赤坂サカス」にて16日~20日と22日に一般公開が行われる。

会場中央には20分の1モデルのシンガポール航空A380が展示されていた

シンガポール航空A380は、2007年10月にシンガポール - シドニー線で世界初商業飛行の後、シドニー定期便就航、ロンドン線就航を経て、東京(成田)を3番目の就航先とした。エアバス社総2階建て超大型機A380が東京に就航する5月20日という日は、シンガポール航空創業40周年、成田国際空港開港30周年という節目にあたる。

A380の客室は、スイート・ビジネス・エコノミーの3クラスで、計471席。エアバスが提案する標準客室数は525席であるから、その数字からゆったりとした機内空間を確保していることがわかる。注目の新設「シンガポール航空スイート」は、座席とベッドを独立させ、好みに調節できるリクライニング機能が付く。同社の既存ファーストクラスよりも15%アップの料金が設定されるという。

こちらが新設されたファーストクラスを超えるクラス「スイート」

座席とは別に独立したベッドが装備され、個室仕様の空間が広がる

フルフラットベッドにはジバンシーがデザインした豪華な羽毛布団とクッションが用意される

ビジネスクラスは、業界随一のシート幅、全席通路に面した4面配置を採用している。そしてエコノミークラスには、デザインを一新したしっとりとした風合いのシートとなり、大型10.6インチスクリーンで最新のエンターテイメントを楽しむことができる。客室乗務員は、A380の場合23人が配置される。従来の大型機と比較し、A380は乗客数が増加するが、客室乗務員数はこれまでの機材とほぼ同数となるとのことだ。

展示されていたビジネスクラスのシート。シート幅は「業界トップクラス」(同社広報)。各座席には15.4インチのLDCモニター、USBポート、電源を完備している

展示されていたエコノミークラスのシート。シートピッチはジャンボクラスとさほど変わりないが、背もたれ部の厚さを薄くすることで圧迫感を軽減させているという。各座席のスクリーンは10.6インチ

シンガポール航空A380の開発・製造には、多くの日本企業が参画しているところも注目だ。その数はなんと21社。TFT液晶パネルにはカシオ計算機、新設計の座席には小糸工業、手荷物棚ミラーにはコミーなど、さまざまな日本企業の技術が採用されている。

日本の企業21社の一覧。ビジネスクラスのシートは横浜の小糸工業、スイートのパーテーション類は新潟のジャムコと、随所に"メイド・イン・ジャパン"な設備が施されている

また、同社はデザイン開発にも力を入れた。ホテル、住宅、列車、ヨット、プライベートジェットなどを手がけたデザイン会社6社をコンペにかけ、結果として「限られた空間の中にどう豪華さを取り入れるかという命題のもと、ラグジュアリーヨットのキャビンにいるような客室空間を創造することができた」(同社バイスプレジデントコントラクト シム・キム・チュイ氏)という。

気になる5月20日の"A380成田初飛来"の就航便運行スケジュール(予定)は、シンガポール発東京行きSQ636便が成田8時30分着。その折り返しとなるシンガポール行きSQ637便が成田13時00分発を予定している。超大型エアバス新鋭機が、成田空港に飛来する日がいよいよやってくる。また、その後の2008年夏期スケジュールは、SQ638便東京着7時30分、SQ637便東京発11時30分となる予定だ。

「このシンガポール航空A380がまさに新世代の機材の代表だ。 クリーンで静かなこの飛行機が民間航空の新基準となるだろう」

シンガポール航空はこれまで数々のアワードを受賞し、世界的にも評価の高い航空会社として知られるが、今後の東京便のロード・ファクター(利用率)については前途多難であることも確か。同社日本支社長フィリップ・ゴー氏は、「かなり頑張って売らなければならない。努力あるのみ」と語りながらも「シドニー、ロンドン線のフライトを 見ている限りは好調だ」と既存2路線については自信もみせた。

同社は現在、A380を3機を保有。現在16機の発注が済んでいて、合計19機のA380が"シンガポールカラー"をまとって登場する予定だ。東京の次の目的地はどこ? という記者の質問にフィリップ氏は「ロンドンにもう一便かもしれないし、香港かもしれない」と笑った。もちろん、就航日の便はすべて満席としている。

シンガポール航空A380キャビン展示

期間 4月16日(水)~20日(日)、22日(月)
時間 4月17日~20日・22日 10:00~20:00(16日のみ12:00~17:00)
場所 赤坂サカス「サカス広場」