京成電鉄は9日、平成22年度開業予定の成田新高速鉄道に導入する「新型スカイライナー」のデザインを発表した。東京・千代田区の帝国ホテルで行われた発表会には、デザインを担当した山本寛斎氏、同社代表取締役会長・大塚弘氏、代表取締役社長・花田力氏が先頭車両の実物大モックアップの前に立ち、そのコンセプトと魅力をアピール。さらに、会場にはサプライズ・ゲストとして女優・上戸彩も登場した

今回デザインが発表になった「新型スカイライナー」

車体先端から肩部につながるシャープなエッジと窓下の細い2本のブルーのラインが風をイメージしており、スピード 感を演出

京成電鉄「スカイライナー」は、京成本線上野~成田空港間を結ぶ有料特急で、JR東日本「成田エクスプレス」とシェアを争う空港アクセス特急だ。「AE形」という初代の形式名が与えられた新型スカイライナーは、8両編成8本の合計64両が新造され、来春に第一編成が落成される予定とのこと。最高速度は在来線最速となる時速160km。"速く走って、そのうえ揺れない"という軽量化と乗り心地の両方を高いレベルで実現した車両との説明があった。

車両内のイメージ

新型スカイライナーは、現行のスカイライナーとは別の線路を走ることになる。平成22年度の開業を目指して整備中の成田新高速鉄道線内の日暮里駅~空港第2ビル駅間を、新型スカイライナーが所要時間36分(現在最速で51分)で駆け抜けるのだという。成田新高速鉄道線は日暮里方面から、既存の京成本線、北総鉄道、千葉ニュータウン鉄道を通り、印旛日本医大駅から新設される成田高速鉄道アクセス、成田空港高速鉄道を経て、現在の空港第2ビル駅、成田空港駅へとつながり、合計5社の線路を使用する。時速160kmのハイスピードを発揮するのは、まずは新設区間から。空港アクセス特急の運行本数はピーク時間帯1時間あたり、新線ルートに新型3本、一般特急3本、京成本線の一般特急3本と、合計9本が走ることになる。

京成電鉄代表取締役社長・花田力氏

新型スカイライナーおよび成田新高速鉄道線の登場には、平成22年度完成予定の平行滑走路延伸工事というプロジェクトが関係している。この工事が終わると、年間2万回の発着増となり、合計22万回もの発着を可能にする国際空港が誕生することになるのだ。そんな成田空港のに対応するべく開発されている新型スカイライナーは、欧米アジア各国の国際空港アクセス利便性に肩を並べることができる新特急として期待されている。それによって花田氏は、「これまで成田空港に車やバスでアクセスしていたお客様の利用も見込んでいる」と語った。

さて、そのデザインを指揮した山本氏は、「僕は東京に住んでるので、新宿や渋谷に行くと、中国語や韓国語を話す旅行者によく会うわけです。そんな海外からの旅人たちが、日本に降り立って、まず最初に目にする乗り物がスカイライナーになるかもしれない。ですから、『我々はこんなにすばらしいものがつくれるんだ』ということをこの新型スカイライナーでアピールしたいです」とコメント。

デザインを担当した山本寛斎氏

京成電鉄から依頼を受け、最初に頭に浮かんだのは「風林火山」だという。そこから車両のコンセプトである「『風』と『凛』」につながり、この要素が外観や車内の随所にあしらわれている。市松模様をアレンジした床や、人間工学に基づいた1,050mmというゆったりとしたシートなど、新型スカイライナーの様々な魅力的構想が具現化しつつある。また、外観の藍色については特にこだわったとのことで、「電車の車体の色は、塗っても普通2回だという。でも僕は、スカイライナーに日本古来の藍染の色を出したいと思い、6~7回塗って試してみた。純白の白も同様です」。

同社関係者は、「東京と成田空港を結ぶ交通機関の中で、鉄道利用は全体の4割。その4割の中の22%が京成利用、18%がJR利用。そんな状況下で、新型スカイライナーがお客様に愛されることで鉄道利用者数全体の底上げにつながれば嬉しい」と新型への期待を語った。なお、既存の「イブニングライナー」「モーニングライナー」は新型スカイライナー登場後も京成本線で残る予定だという。