矢野経済研究所は、プリペイド式電子マネー市場に関する調査結果を公表した。調査は2007 年9月から2007年11月において、プリペイド決済サービスの発行事業者および販売事業者(21社)、ギフトカード導入総合支援サービス事業者(7 社)を対象に、直接面接取材を中心に実施した。なお、プリペイド式電子マネーの発行額には、プリペイド式接触/非接触IC 型電子マネー(Suica、PASMO 等の交通系ではIC 乗車券としての利用額を除き、ショッピング利用額を含む)、及びプラスチックカード型プリペイドカード(ギフトカード)、ネットワーク型電子マネーを含むとしている。
同研究所によると、プリペイド式電子マネーの2006年度発行額は3,547億円(前年度比33.3%増)と高い成長が続いているという。発行額の内訳としては「Edy」や「Suica」「nanaco」といったプリペイド式非接触IC型電子マネー(IC乗車券利用を除く)が1,501億7,500万円(前年度比62.8%増)、「WebMoney」や「NET CASH」といったネットワーク型電子マネーが756億円(同57.5%増)という結果に。
その要因として、同研究所は(1)「Edy」や「Suica」、「PASMO」といった電子マネー利用の拡大により小額決済市場において利用を急速に拡大していること(2)ブロードバンド回線のインフラ整備に伴い、「WebMoney」や「NET CASH」といったネットワーク型電子マネーの利用が広がっていること-などを挙げた。また、スターバックスやフレッシュネスバーガーなどで発行されているプラスチックカード型の商品券「プラスチックカード型プリペイドカード」は、小売業を中心に導入が進むことが予想されており、2007年10月末にはすでに導入企業が100社を超えるとしている。
また、プリペイド式電子マネーの発行額は2010年度で2006年度実績の4倍超にあたる1兆5,751億6,400万円と予想。今後の市場規模予測 (発行額ベース)について発行規模の拡大が見込まれるとしている。同研究所は「JR九州は2009年春以降に福岡/北九州エリアにおいてICカード乗車券『SUGOCA(スゴカ)』を、またJR北海道では、2008年秋をめどにICカード型乗車券『Kitaca(キタカ)』を導入するなど、2010年度までに全国レベルで交通系ICカードが導入されることで、電子マネーの利用も全国に広がっていくことが予想されます。また、現在は小額決済市場で利用を伸ばしていますが、今後は高額決済においても利用を促進させていこうとする動きが見られることから、今後も堅調に発行規模が拡大していくと思われます」と話している。