トヨタ自動車は4日、昭和シェル石油、日野自動車、Shell International Petroleum Co.(英国)、豊田通商と共に、FTD(Fischer-Tropsch Diesel)燃料を使用する公道走行試験を開始した。この試験は国土交通省からの委託事業で、独立行政法人交通安全環境研究所(交通研)が中心となって実施している「次世代低公害車両開発・実用化促進プロジェクト」の一環として、2008年3月まで実施される予定。

FTD試験車両

FTD燃料は、Fischer-Tropsch製法による合成液体燃料で、ディーゼルエンジンに適した燃焼特性でありながら、硫黄分・アロマ分を含まない性状をもつ。この燃料は排出ガスのクリーン化に大きく寄与し、同プロジェクトにおける現行エンジンを使った先行試験結果では、軽油に比べ、触媒などで後処理をする前の排出ガス中におけるPM(粒子状物質)が約50%、HC(炭化水素)およびCO(一酸化炭素)が約20%低減している。また、市場導入時には既存のインフラを活用できること、天然ガスのみならず資源が豊富な石炭やバイオマスからも製造が可能なことから、エネルギーセキュリティの観点からも軽油に代わる有望な代替燃料と考えられている。

同社と昭和シェル石油、日野自動車は、交通研とともに、FTD燃料の有用性に着眼し、2005年10月から上記プロジェクトに取り組んでいる。この研究は大幅な低公害化を実現するFTD燃料用専用車両の開発を進めるとともに、現在、市販化されている車両においてもFTD燃料の使用が可能であることを確認するためのもの。

今回の公道試験の目的は、冬季を含む長期にわたりFTD燃料が車両改造を伴わずに利用できることを実証するためのものであり、車両に使用される燃料噴射系部品や、燃料ホースなどへの影響を調査する。試験車両は、トヨタ輸送の保有する車両積載用トラックを使用し、愛知県豊田市周辺および同社事業所間(本社と東富士研究所)を走行する。また、今回の実証試験に使用するFTD燃料は、天然ガスを原料とし、マレーシアのシェル中間留分合成プラントで生産されたShell GTL Fuelを用いている。