日本機械学会は7日、25件の「機械遺産」(MechanicalEngineering Heritage)を発表した。

東海道新幹線0系電動客車や、自転車にエンジンを搭載した原動機付き自転車の原型「カブ号F型」の自転車用補助エンジン、マツダの「コスモスポーツ」に搭載された世界初の2ロータ式ロータリエンジン「10A型ロータリエンジン」、1970年代に米国が制定した排出ガス規制「マスキー法」を世界で初めてクリアした自動車用水冷式エンジン「ホンダCVCCエンジン」(ホンダ「シビック」などに搭載)、コマツの初代ブルドーザー「G40」など。「嫌われ松子の一生」の舞台にもなった筑後川に掛かる旧筑後川橋梁も含まれている。

この「機械遺産」は、歴史に残る機械技術関連遺産を文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本国内の機械技術面で歴史的意義のあるものを認定する制度である。機械製品だけでなく、機械技術に関するドキュメントなども対象となる。

機械遺産は、「Site」「Landmark」「Collection」「Documents」の4つのカテゴリに分類される。以前より、米国の機械学会(ASME)では機械関連遺産のカテゴリを設けており、これを参考に日本の実情に合わせて設定した。

「Site」は広域的に分布する機械および機械関連システムなど、「Landmark」は機械工場や機械工場群など、「Collection」は機械と機械類、「Documents」は設計資料や教科書などの資料となっている。

今回認定されたのは次の25件で、日本機械学会発行の小冊子「機械遺産」に収録されている。

1. 小菅修船場跡の曳揚げ装置
2. 熊本大学の旧機械実験工場と文化財工作機械群
3. 足踏旋盤(1875年、伊藤嘉平治作)
4. 陸用蒸気タービン
5. 10A型ロータリエンジン
6. ホンダCVCCエンジン
7. 民間航空機用FJR710ジェットエンジン
8. ヤンマー小形横形水冷ディーゼルエンジンHB形
9. ゐのくち式渦巻きポンプ
10. 高周波発電機
11. 東海道新幹線0系電動客車
12. 230形233号タンク式蒸気機関車
13. 旅客機YS11
14. カブ号F型(ホンダ自転車用補助エンジン)
15. 麦わら帽子製造用環縫ミシン
16. 無停止杼換式豊田自動織機(G型)第1号機
17. 活版印刷機
18. コマツブルドーザーG40(小松1型均土機)
19. オリンパスガストロカメラGT-I
20. バックトン万能試験機
21. 万能製図機械MUTOH「ドラフターMH-I」
22. 万年自鳴鐘
23. 旧筑後川橋梁(筑後川昇開橋)
23. 機械学会黎明期の学術図書(機械学会誌創刊号、機械工学術語集および機械工学便覧)
25. 東京帝国大学水力学および水力機講義ノート(真野文二/井口在屋)

なお米国の機械遺産には、Saturn V型ロケットなどが認定されている。