世界最大のディスプレイ国際会議である「SID/Display Week 2026」が、5/3-8の日程で「Los Angels Convention Center」で開催されている(図1)。
国際会議のメインであるシンポジウム以外にも、Short Course、Seminar、Business Conference、展示会など様々な関連イベントが組まれている。プログラム全体を見渡して感じるのは、ディスプレイ産業の方向が大きく変わりつつある、ということである。これまでのディスプレイ技術の競争ポイントは、いかに綺麗な映像を見せるかというハードウエアの開発競争であった。ここにきて注目されているのは、AIなどによって爆発的に増大する情報を「どのように見せ、どのように活用するか」という視点である。
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図1:SID/Display Week 2026の会場(Los Angels Convention Center)。スポンサー企業トップの中国3社の看板が掲げられている(開幕前日の5/2に筆者が撮影)
近年、産業界の関心はAIおよび半導体に向いており、ディスプレイへの関心は薄れている。しかし、その一方で見落としてはならないのが、人間がAIやデジタル情報と接する最終インタフェースは、依然としてディスプレイであるという事実である。
AIが高度化し、空間コンピューティング、XR、自動運転、ロボティクス、などの新たな世界が広がるほど、「どの空間に情報を提示するか」「どのように人間が直感的に理解できる形に変換するか」が重要になる。半導体が「情報を集約し加工する産業」であるのに対して、ディスプレイは「情報を知覚に変換し人々に提供する産業」に進化している。
2026年のトピックスはXRとAIの融合
SID/DWはディスプレイ技術をベースとしたイベントであるが、毎年掲げられる内容を見ているとその時々のディスプレイ産業の方向性も感じ取ることが出来る。
今年のSID/DW 2026で掲げられているトピックスは、XR、AI、Emissive Materials、Automotive Technologies、Test & Measureの5つである(表1)。
従来は、LCD、OLED、Micro LEDといったディスプレイのハードウエア技術の議論が色濃かったが、今回のトピックスはAIをはじめとして、映像をどのように作り出し、どのように人々に見せるかといった議論が前面に出ている。これは、ディスプレイが従来のパネル製造産業から、光・視覚・空間認識・HMIを統合して映像を見せる映像産業へ進化していることを示している。
特に注目したいのは、XRとAIの融合である。ARグラスやAIグラスは、従来のスマートフォンのように手元の画面を見るデバイスではない。視界の中に情報を重ね、人間の行動や周辺環境を理解しながら、必要な情報を必要なタイミングで提示する。ここでは、ディスプレイは単なる「画面」ではなく、現実空間とデジタル情報をつなぐ光学インタフェースとなる。
また、AIの進化はディスプレイそのものの設計にも影響を与える。画像処理、視線追跡、表示補正、低消費電力化、ユーザーごとの最適表示など、AIは今後の表示品質を決定する重要技術になる。今回のDisplay Weekでも、AI for Display、Computer Vision、AI Glassesといったセッションが用意されており、ディスプレイ産業がAI時代のHMI産業へ拡張していることが分かる。
その他の3つのトピックスも含めて、詳細内容を続稿でレポートする予定である。
