天文宇宙検定という民間テストがあります。その名の通り、天文や宇宙についての知識を問うもので、小学校卒業レベルの4級から大学院入試レベルの1級までがあり、全国で受験ができるというものです。最近は年2回開催。2024年6月には17回目が行われるとのことで、そろそろ紹介しごろかなということでお話しますね。

やや落ち着いたかなと思いますが、世の中検定ばやりですな。免許や資格などと関係なく、自分の力試し、勉強や修行の確認に検定を受ける。そんなみなさんが大勢いて、いやー、結構テスト好きなのねなどと思ったりします。

検定で有名なのは、大学入学資格を取れる大学入試検定、就職や進学の有利不利を左右する英語検定、地理検定、歴史検定、数学検定、漢字検定などがありますな。各種の職業に関係したIT系の検定や建築や福祉関係の検定なども多数あります。

一方で、検定ブームを作ったのは、地元ネタを知るご当地検定ですね。こうしたまあ、語学、地理、文化、歴史、アートなど文系の検定が圧倒的な感じがいたしますな。趣味関係の知識を問う検定は本当に楽しく取り組めますなー。

そんななかサイエンス系の検定もいくつかあります。こういうのを調べるのはWikipediaが圧倒的に便利ですが。日本の検定試験一覧 - Wikipediaを見ると、実用理科技能検定や天気検定などもございます。私のフィールドで行われている天文宇宙検定もそんな中のひとつでございます。

天文宇宙検定の内容は、小学校高学年、中学3年、高校3年、大学卒業レベルとされていて、4級、3級、2級、1級になります。有名人でも受験したことを公言している人もいて、タレントでデザイナーの篠原ともえさんは割と初期のころに3級を受験して合格しているそうです。受験会場で見たという証言を聞いております。また、検定マニアといわれているアイドルグループSnowmanの阿部亮平さんも持っているようです。まあ阿部さんは気象予報士の資格は持っているし、理系の大学院(それも上智大学)を修了していて地力はしっかりある方のようですが。

さて、この天文宇宙検定の問題ですが、そこそここのジャンルで仕事をしている私でも、満点をとれるかというとちょっとやっかいです。というのは、4~2級は公式テキストがあり、問題はそのテキストから出ることになるので、隅々まで読んで勉強をすればいいのですが、このテキストがくせ者なんです。したがって問題もちょっとクセがあります、

このテキストはいわゆる教科書的なことも多いのですが、時事ネタや、科学史ネタ、宇宙開発に天文生物、一部SFネタなども入っています。逆にテキストを読まないで、ふつうの天文学ならわかっているよとか、自分は宇宙マニアだからと思っていると、いや、そんなの知らんよという問題に遭遇してあたふたすることになります。

天文宇宙検定の過去問は、問題集にも出ていますが、そういうクセのある問題をいくつかピックアップしてみますね。あ、そのままだとあれなので、ちょっと問題をアレンジします。こんな感じの問題というところで。なお、この検定はマークシートによる四択です。鉛筆転がしても25%は平均取れるってことでございまして、合格ラインは級によりますが6~7割でございます。

4級(小学校卒業レベル)

Q:シリウスまでの距離を、光時であらわすとどれくらいか?

  1. 3000光時
  2. 2万光時
  3. 7万光時
  4. 80億光時

あのー、まず光時ってなんすか? という。シリウスまでの距離はしらんわとか、これ小学生が解くんですか的な(答えは3です。シリウスは8.7光年で、1年は365日、1日24時間なので、1年は8000時間くらい。したがって、7万光時)

  • おおいぬ座のシリウス

3級(中学校卒業レベル)

Q:関ヶ原の合戦が行われたころに行われた天文学上の偉業はなにか?

  1. 月のクレーターの発見
  2. アンドロメダ銀河の記録
  3. 地球の大きさの科学的測定
  4. 天王星の発見

まず、関ヶ原の合戦がいつくらいか(1615年)というところと、各業績がいつくらいかを知っておかないといけないわけです。天文学史は学校ではほとんど習わないので、テキスト読んでおかないと詰みます(答えは1。1610年にガリレオによる))

  • 月のクレーター

2級(高校卒業レベル)

Q:表面温度が4000Kの赤色巨星と同じ光度で表面温度2万Kの主系列星とでは、大きさはどれほど違うか

  1. 5倍
  2. 25倍
  3. 125倍
  4. 625倍

天体物理学を勉強しないとわからない問題です。そういう意味では教科書を勉強しておけばいいんですが、ステファン・ボルツマンの法則から、温度の4乗に比例なので、同じ光度で温度が5倍違うということは、同じ半径なら5の4乗明るいので、対応するには5の2乗大きさがないといけないので25倍。2が正解です。

いや、もっと簡単の解ける問題も多いのですが。結構手強いことがわかるでしょうか。いや、実は私も結構ギリギリでございます。

さて、これらのうえに1級があるのですが、1級は2級合格者でないと受験できないことになっています。そして、その問題ですが、公式問題集を読むと……

  • Q:活動銀河の明るさを巨大ブラックホールの降着のエディントン光度で説明するとしたらブラックホールの質量は太陽の何倍か?
  • Q:物理定数のうち、定義値でないものはなにか
  • Q:ビリアル定理の公式はどれか?

基本的な問題といえば、そうですが、天文ファンだというだけではちょっと解けない問題ですね。逆に物理系の人ならすらっと解けそうですけど。でもこれはどうでしょう。

  • Q:映画スピーシーズNEOの原作はなにか
  • Q:スタートレックのワープ航法の理論はどれか

SFファンでもないとしらんがなという感じではあります。

  • Q:渋皮晴海が制定した日本の星座でないのはどれか

江戸時代の天文学史まで…。

聞くところによると1級は合格者が非常に少ないのだそうですが、それを突破して合格できたらマジ尊敬っす。